時間をかけながらまとまった資産を築くために、インデックスファンド(またはバランスファンド)を通じて、長期・積立・分散投資を実践している方は多いことでしょう。しかし、将来に備えるだけでなく、資産形成中の今の生活も楽にできる投資ができれば、なお良いとは思いませんか?

今回は、資産形成中の物価高対策を考慮した投資戦略として「インデックスファンド+個別株少額投資」を一緒に考えたいと思います。

今や1株から株式投資ができる時代

株式投資には、安く買って高く売ったときに得られる「値上がり益」、年に1~2回もらえる「配当金」及び「株主優待」という3つの利益があります。

NISAは利益にかかる税金が一生涯かからないので、「値上がり益」や「配当金」狙いの投資がメインとなっていることが多いでしょうが、株主優待を侮ってはいけません。

株主優待では、生活必需品やレジャーなど、割引で購入・利用できる優待券をもらえたりするので、それらを利用すればお得な生活を送れます。つまり、資産形成をしている今の生活の物価高対策もすることが可能です。また、株主優待をもとに普段できないような体験をすることもあるでしょう。

株主優待を導入する企業は約1600社あり、株主優待をもらう権利を獲得するには単元株(100株)保有が条件になっていることがほとんど。しかし、なかには、たった1株保有するだけで株主優待がもらえる企業もあります。

特に、生活必需品やレジャーなど、割引で購入・利用できる優待券がもらえる企業には注目です。多くの会社で株式分割が進んでいるので、1株あたり数千円で投資できるものが増えています。

1株数千円で投資ができる1株優待を10銘柄紹介

1株優待を実施している銘柄の中から、優待割引を実施している10銘柄をまとめました。

※株主優待の内容は予告なく変更・廃止となる場合もありますのでご了承ください。

【図表1】1株から優待割引券がもらえる銘柄例
出所:(株)Money&You作成
※SBIホールディングスは、予想配当が未公表のため実績配当利回りを表示
※2025年11月13日終値時点の情報に基づく

ニップン(2001):健康食品が30%~40%割引

日本で最初に創業した機械製粉の会社であり、製粉分野では日清製粉に次いで国内2位。アマニ油・冷凍食品・サプリメントが30%~40%割引で購入可能です。

100株保有で「小麦粘土でつくる「パンの花」1日体験レッスン&プレコース(初心者向け短期講座)の無料受講&入会金無料」の優待がもらえます。200株保有で1,500円相当の自社商品の詰め合わせがもらえます。

2025年11月13日時点では、配当利回りが2.97%と好配当株でもあります。

ダイドーグループホールディングス(2590):飲料やゼリーが10%~25%割引

大手飲料メーカーであり、自販機を通じての販売に強みがある会社です。ダイドードリンコが製造している飲料や健康食品、たらみ(ゼリー)などを10%~25%割引で購入できます。

200株・株式継続保有期間6ヶ月以上で6,000円相当の自社グループ商品の詰め合わせがもらえます。

日清オイリオグループ(2602):オリーブオイルが30%割引

日清オイリオグループ(2602)は家庭用油で首位の会社。料理で活躍・重宝される「オリーブオイル」を30%割引で購入できるのは大変ありがたいでしょう。

100株保有で1,500円相当の自社商品の詰め合わせ、200株保有で3,000円相当の自社商品の詰め合わせがもらえます。

11月13日時点では、配当利回りが3.50%であり、高配当株でもあります。

日本ケミファ(4539):ヘルスケア商品が30%~60%割引

日本ケミファ(4539)は、医薬品・検査薬の研究開発及び製造をおこなっている会社。スキンダイエット基礎化粧品シリーズ・コエンザイムQ10・姫マツタケ・青汁などの健康食品をお得に購入したい方にはおすすめの1株優待銘柄です。

11月13日時点では、配当利回りが3.28%であり、高配当株でもあります。

三菱マテリアル(5711):金・プラチナ・銀を割引で購入可能

三菱マテリアル(5711)は、金属製品や電子製品などを手がけている会社。同社サービス「ゴールドパーク」では金・プラチナ・銀が割引で購入できます。金地金は優待価格で売買可能、金貨も優待価格で購入可能。優待期間であれば何度でも利用できるのもうれしい。

11月13日時点では、配当利回りが3.29%であり、高配当株でもあります。

京セラ(6971):清掃機器やキッチン用品などが40%~60%割引

京セラ(6971)は、半導体部品、通信機器、電気機器などの開発・製造を行なっている会社。電動工具、清掃機器、キッチン用品など比較的出費が大きい製品が40%~60%割引で購入可能です。

100株・株式継続保有期間1年以上で1,000円相当のQUOカード、またはカタログギフトがもらえます。

リコー(7752):カメラ、双眼鏡、スキャナーなどが10%~40%割引

リコー(7752)は、プリンター・複合機、光学機器などの開発・製造を行なっている会社。カメラ、双眼鏡、スキャナーなど比較的出費が大きい製品が10%~40%割引で購入可能です。

11月13日時点では、配当利回りが2.91%であり、好配当株でもあります。

松風(7979):薬用歯磨きやネイル製品が30%~60%割引

松風(7979)は、歯科医療材料・機器の開発・製造・販売を行っている会社。口腔内の健康が、身体の健康と密接に関連していることが強く認識される昨今、薬用歯磨きが30%~60%割引で購入できるのはかなりうれしい1株優待銘柄の一つです。

100株保有で4,400円相当の自社商品の詰め合わせをもらえます(権利確定月は3月のみ)。

11月13日時点では、配当利回りが2.85%であり、好配当株でもあります。

SBIホールディングス(8473):健康補助食品や化粧品が50%割引

SBIホールディングス(8473)は、ネット証券、保険、銀行など、総合金融業を展開している会社。アラプラスシリーズの健康サプリ・化粧品が50%割引で購入可能。

100株保有で2,000円相当の自社商品の詰め合わせ、または暗号資産「XRP」がもらえます。

サカイ引越センター(9039):引っ越し代金が30%割引

サカイ引越センター(9039)は引っ越し業界ナンバーワンの会社。引っ越し代金が30%割引になる優待券をもらえます(7月末ごろ、社内報と同封して送付)。3月15日~4月10日までの繁忙期は利用不可ですが、利用期限は1年間ちょっとあるので、引っ越しの予定があるという場合には有益です。

100株保有・株式継続保有期間1年以上で2,000円相当のQUOカード、またはお米5kgがもらえます(権利確定月は3月のみ)。

11月13日時点では、配当利回りが3.49%であり、高配当株でもあります。

「配当金」や「株主優待」はどうしたらもらえる?

配当金や株主優待を受け取るには、「権利付き最終日」に株を保有している必要があります。権利付き最終日の翌日を「権利落ち日」といいます。「権利落ち日」に株式を売却しても配当金や株主優待をもらうことができます。

実際、権利落ち日は投資家が株式を売却する傾向が高いため、株価が下がりやすくなっています。反対に、権利付き最終日に向けて、株を買う人が増えていくため、株価は上がりやすい傾向にあります。

【図表2】「配当金」や「株主優待」はどうしたらもらえる?
出所:著書「マンガと図解 50歳からの新NISA×高配当株投資」(KADOKAWA)より

1株優待を実施している銘柄は、高配当銘柄であることも多く、株主還元に積極的な企業が多いように思います。「配当金」「株主優待」の両取りをしつつ、将来的には「値上がり益」も狙う個別株少額投資を、インデックス投資に加えるのもひとつ面白いのではないでしょうか。

とはいえ、企業側が高配当や株主優待を続けるとは限りませんので、投資する企業の業績や財務の健全性など銘柄分析や株主優待の方針の変更がないかなど情報収集をしっかりと行ない、投資の判断をしましょう。

*本記事で紹介した銘柄はあくまで参考として申し述べたものです。投資する場合は自己の責任となります。