モトリーフール米国本社-2025年11月3日 投稿記事より
キャシー・ウッド氏、ネットフリックス株を1,700万ドル超買い増し―市場急落局面での戦略的投資
アーク・インベストメント・マネジメントの創業者兼CEOであるキャシー・ウッド氏は、一般的に「バリュー株投資家」ではなく「グロース株投資家」として知られています。ところが先週(10月27日週)、ウッド氏は多くの投資家が狼狽売りしていた銘柄を「掘り出し物」として追加投資しました。
同氏が率いるアーク・インベストメントは、クラウド、モバイルコンピューティング、ビッグデータ、IOT(モノのインターネット)など、同社が破壊的技術の恩恵を受けると考える企業を投資対象とする上場投資信託(ETF)「アーク・ネクスト・ジェネレーション・インターネット」にて、ストリーミング大手のネットフリックス[NFLX]の株式約1,720万ドル相当を追加投資したのです。
ウッド氏は株価が上昇基調にある銘柄を好んで買うことで知られています。電気自動車(EV)大手のテスラ[TSLA]、半導体大手のエヌビディア[NVDA]、データ分析企業のパランティア・テクノロジーズ[PLTR]などがその代表例でしょう。
しかし、ネットフリックスの株価は、2025年10月21日の第3四半期決算発表後に1日で10%急落したにもかかわらず、ウッド氏の投資対象となったのです。
ネットフリックスの四半期決算は期待外れだったが、ウッド氏は7年以上の先を見据え追加投資
ネットフリックスの株価下落の主因は、利益の市場予想未達にあります。ウォール街では1株当たり6.97ドルの四半期利益を予想していましたが、実際にはそれを1ドル強下回る5.87ドルにとどまりました。この1株当たり利益(EPS)は、2025年第1四半期および第2四半期を下回っています。
加えて、投資家は第3四半期の営業利益率が31%を超えると予想していましたが、実際は28%にとどまりました。さらに、経営陣が示した第4四半期の収益ガイダンスは16.7%の増加と、第3四半期の17.2%を下回っています。一部の投資家はこれを、「ネットフリックスの成長鈍化」と受け止めました。
株価は過去4ケ月間にわたり徐々に下落を続けており、本稿執筆時点で、2025年6月30日に付けた史上最高値からほぼ18%下落しています。
もっとも、ウッド氏は、このネットフリックスの利益未達をあまり懸念していないようです。というのも、これは主に、ブラジルでの課税問題を解決するための費用(6億1,900万ドル)が一時的に計上されたためです。この特別費用がなければ、第3四半期決算ははるかに良好だったとみられます。
一方で、他の投資家はネットフリックスの株価バリュエーションを問題視しています。実際、本稿執筆時点で、同社の予想EPSに基づく株価収益率(PER)は約47倍前後と、市場全体と比べてかなり割高です(ナスダック100指数のPERは約33倍)。
とはいえ、ウッド氏とアーク・インベストメントにとって、割高なバリュエーションが投資の妨げになったことはありません。同社は数四半期先ではなく、「7年以上先を見据えた長期的投資」を基本方針として掲げています。
新たな成長ドライバーとしての広告事業
ネットフリックス株を売却した一部の投資家は、同社の急成長している新たな収益源を見落としていた可能性があります。ネットフリックスは、2022年に広告付きサブスクリプションプランを導入しました。約3年が経過した今、その収益源は着実に拡大しています。
ネットフリックスの共同CEO、グレッグ・ピーターズ氏は、2025年の広告収入が2024年から倍増する見通しであり、企業による広告契約のペースも加速度的に伸びていると語っています。2025年中には、「インタラクティブ広告」(ユーザーの行動や反応に応じて内容が変わる広告)も導入する予定です。第3四半期の収益も好調で、前年同期比17%増の115億ドルとなりました。
ウッド氏は決算発表後に起きた大量の売りを、典型的な押し目買いの好機と判断したのでしょう。また、ネットフリックスは、アーク・インベストメントが好む「破壊的かつ革新的な企業」という特徴に合致しているようです。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Matthew Benjaminは記載されたどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はネットフリックス、エヌビディア、パランティア・テクノロジーズ、テスラの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。
