主要政策金利を0.25%引き下げることを決定
現地10月29日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)は、主要政策金利を0.25%引き下げることを決定しました。利下げは2会合連続となります。また、2022年から続いてきたバランスシート縮小(ランオフ)を12月1日で終了する方針も明らかにしました。
今回の決定は賛成10、反対2という結果となり、委員会内の意見対立が顕在化しました。反対票のうち1人は0.5%の利下げを主張し、もう1人は据え置きを主張しています。
市場が織り込んでいた12月利下げ確実視の見方をけん制
パウエル議長は、労働市場について「鈍化しつつも堅調」と評価する一方で、ここ数ヶ月で雇用への下振れリスクが高まっているとの認識を示しています。また、物価については「なお高止まり」と指摘しています。そして、「12月会合での追加利下げは既定路線ではない。そう呼べる状況からは程遠い」と述べ、市場が織り込んでいた12月利下げ確実視の見方をけん制しました。会見前には12月追加利下げがほぼ100%織り込まれていましたが、会合後は7割を下回り、金利の上昇がみられました。
しかし、議長の発言は利下げスタンス自体の転換を示すものではありません。議長は「霧の中を運転するときはスピードを落とす」と例え、政府閉鎖によるデータ欠如を踏まえた慎重姿勢を強調しました。そのうえで、経済の堅調さから早すぎる連続利下げに警戒しつつも、労働市場には下振れリスクがあることから、利下げ方向そのものは維持する姿勢を示しました。
利下げ方向は維持しつつ、スピードは市場が望むほど速くはない
今後の焦点は、政府閉鎖が解除され、ハードデータが再びそろってきた段階で、雇用の軟化が失業率の上昇に波及するか、あるいはインフレ粘着が利下げを阻むかに移ります。市場が2026年以降も期待する断続的な利下げはやや先走っている可能性があります。一方で、FRB(連邦準備制度理事会)が景気下支えスタンスを撤回する局面にはまだ至っていません。今回のメッセージは、「利下げ方向は維持しつつ、スピードは市場が望むほど速くはない」という2つのシグナルに整理できます。
