トレンドライン上を維持するも日経平均5万円の壁に押し返される

前回「【日本株】高市トレードは継続するのか?トレンドラインから探る」では、自民党の新総裁が誕生したことを受け、10月6日に株価が窓をあけて上昇し、水準を切り上げて、これまで上値の抵抗線となっていた「5月13日の終値と8月18日の終値を結んだトレンドライン」を一気に上回ったことから、このトレンドラインがサポートに変化したことを説明しました。また、このトレンドライン上を維持できるかが、いわゆる「高市トレード」が継続するかどうかの鍵と言いました。

その後、公明党が連立政権からの離脱したことやトランプ米大統領による中国への追加関税の発表など、複数の悪材料が出ました。しかし、先週(10月13日週)の日経平均はこのトレンドライン上を維持する結果となりました。

さらに、10月20日には日本維新の会が自民党と連立政権樹立で合意するなど、政権安定に向けた動きを見せました。そして、10月21日には高市氏が首相指名選挙で、初の女性首相に選出されるなど、歴史的な出来事も発生しています。

こうした状況を好感し、株価はトレンドライン上を維持するとともに、10月20日と21日には、日経平均は連日で過去最高値を更新し、10月21日には一時5万円の大台に乗せるまであと55円に迫る瞬間がありました。

一方、首相指名選挙の結果を受け高市首相が誕生したあとは、一旦材料出尽くしとなって、10月21日のローソク足は陰線を形成して終えています。

5万円乗せのカギを握るテクニカル的なポイントは?

今後、気になるのは日経平均が5万円の大台に乗せることができるかどうかですが、テクニカル的には、上向きの5日移動平均線上を維持できるかどうかが鍵となるでしょう。

仮に5日移動平均線上を維持すると、上向きの5日移動平均線がサポートになり、上昇することが期待されます。そして、日経平均が終値で史上初となる5万円に乗せることも視野に入ります。

その反面、日経平均が5万円に乗せても5日移動平均線上を維持できずに割り込み、5日移動平均線が下向きに変化して上値の抵抗になると、短期的な下降トレンドが発生します。その際には、トレンドラインまで下落、あるいは25日移動平均線辺りまで下落することが考えられますので、高値掴みには注意が必要です。

モメンタムの低下は5日移動平均線割れにつながる

そうしたなか気になるのが、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムの動きです。図表を見るとモメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、下向きに変化して10月21日の取引を終えているのが分かります。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※移動平均線の期間は5日(青線)、25日(赤線)、75日(グレー線)で設定
※出来高はプライム市場
※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示

このように、株価が連日で高値を更新したにも関わらず、モメンタムが下向きに変化して前の高い水準に届かず低下する現象のことを、以前「逆行現象」として紹介しました。この「逆行現象」は上昇の勢いが鈍っていることを示すことになるため、今回のように2本線の低下が継続するようですと、株価が天井をつける可能性が出てきますので注意が必要になります。

こうした状況から、2本線の低下が続くかどうかが今後の注目ポイントになります。仮に2本線の低下が続くとともに、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを割り込むようですと、5日移動平均線を割り込んだり、トレンドラインを割り込んだりすることが視野に入ります。そのため、買いポジションを持っている投資家は損失の発生や拡大に注意が必要になるでしょう。

一方で、2本線が低下しても限定的だったり、上向きに変化して上昇したりするようですと、5日移動平均線上を維持するとともに、日経平均が5万円の大台に乗せることが考えられますので、要注目です。