中国政府によるレアアース輸出規制強化の報道をきっかけに、世界の金融市場はリスクオフへと傾きました。そして、10月10日(金)のNYクローズ直前、トランプ米大統領がSNS上で「対中関税を100%に引き上げる」と発信したことを受け、さらに暗号資産市場は急落しました。

BTC(ビットコイン)の下落は比較的限定的でしたが、アルトコイン市場ではフラッシュクラッシュが発生しました。海外の暗号資産市場では160万人以上のアカウントが強制清算され、総額は約300億ドル規模に達したとも推計されています。

今回の急落で世界中の暗号資産投資家が損失を被ったものの、その後の反発は力強く、相場は短期的に底を打った可能性が高いとみています。個人的には、再び史上最高値を目指す上昇トレンドが再開すると予想しています。

BTC(ビットコイン)、東京時間は売り優勢が継続

欧州時間以降には買い戻しが入る展開か

BTC/JPYの日足チャートを見ると、史上最高値からの大陰線は象徴的です。第4四半期に向けた年末ラリーの期待でポジションが買いに偏っていたことを示しています。日本の連休明けとなる10月14日現在、東京市場では売りが優勢ではじまりましたが、個人的には、これらの売りは一時的なものであり、欧州時間以降には買い戻しが入る展開を想定しています。

そしてSMA90(水色)を一時的に割り込んだものの、反発して再び上回る水準まで回復し、現在ではMACDはデッドクロスを示しています。しかし、失敗パターンを想定しつつ、上昇目線を継続しています。ここからは時間足ベースで押し目買いのポイントを探っていきたいところです。

【図表1】 BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

4時間足チャートではSMA200を基準に押し目を狙う

4時間足チャートでは、SMA200(橙)がテクニカルサポートとして機能しています。押し目のタイミングとしては良好な位置で、ここからの反発が期待されます。再びSMA90(水色)付近まで上昇できれば、続伸の可能性が高まります。このタイミングでMACDも0.00付近まで回復すれば、テクニカル的に非常に良い形です。

一方で、SMA90~200の間でレンジを形成し、時間をかけて上昇に転じるパターンも悪くありません。後者の展開ではストップが多く溜まりやすく、強い反発を誘発する可能性があります。したがって、買いトレードを継続しつつ、押し目を狙うなら4時間足SMA200を意識するのが良いでしょう。

【図表2】BTC/JPY  4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ETH(イーサリアム)、MACDの位置からみると方向感のない展開に

主要アルトコイン市場は静かな展開が続くか

ETH/JPYの日足チャートでは、直近高値から20%を超える急落が発生しました。その後は急速な反発を見せ、現在は63万円付近で推移しています。MACDは0.00近辺まで下押ししており、方向感が失われつつあります。アルトコイン市場全体がダメージを受けているため、ETHを含む主要アルトコインはしばらく静かな展開が続くかもしれません。ここでも時間足ベースで押し目買いの水準を確認していきます。

【図表3】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

短期的な揉み合いから週後半の再上昇に期待

ETH/JPYの4時間足では、急落により短期・長期SMAが重なり、日足同様に方向感の乏しい形状となっています。現在はSMA90(水色)およびSMA200(橙)が位置する65万円付近で上値を抑えられている状況です。下値はSMA30が推移する62万円付近を目安に、62~65万円のレンジ相場を短期的に想定しています。

急落後の急騰により流動性は一時的に低下しており、いったんは新規売りの消化を待つ展開が理想的です。むしろ短期間の横ばい推移を経ることで、次の上昇トレンドにつながりやすいと考えます。

【図表4】ETH/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ETHの買い目線は継続です。米中関税論争には引き続き注目しつつも、最終的には暗号資産に対しては、TACOトレード(Trump Always Chickens Out)と考え、一時的な価格変動であり中長期的にはBTC・ETH・ソラナ(SOL)などの主力銘柄中心に資金が回帰していくと予想します。そのため筆者は引き続き、BTC・ETHともに中期的な上昇トレンドが継続することを見込んでいます。