10月4日(土)に行われた自民党総裁選は、事前の予想を覆し、小泉進次郎氏を抑えて高市早苗氏が新総裁に選出されました。1次投票の段階から高市氏がリードし、決選投票でもその勢いを維持して勝利を確定させました。

総裁選前のインタビューで、高市氏は「首相に就任したらまず何に取り組むか」という質問に対し、臨時国会の召集と補正予算の編成を挙げ、ガソリン税などの暫定税率廃止に着手する可能性を示唆していました。

この政策方針は、立憲民主党や国民民主党が主張してきた「給付金付き税額控除案」ともおおむね一致しており、今後、首相就任に向けて野党からの協力を得るためにも、一定の歩み寄りや譲歩を行うとみられます。

結果として、財政出動規模は相当大きなものとなる公算が高いでしょう。これは「物価高対策」というよりも、実質的にはインフレ加速策と思われます。国民にとっては、一時的な物価上昇への“対応補助”という形で恩恵があるものの、マクロ的には円安圧力を強める政策になります。

マーケットはこの動きを好感し、株式市場や暗号資産市場にとっても上昇要因となり得るのではないでしょうか。日銀も政府との歩調を崩しにくく、当面は利上げに踏み切らない可能性が高いでしょう。為替市場では、1ドル=150円を超え、年始水準への回帰を試す展開を予想します。

BTC(ビットコイン)、高市新総裁誕生で日銀利上げ観測後退が好感か?

【図表1】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

BTC/JPYの日足チャート分析です。三角保ち合いを上抜けし、連日で陽線が続く強い地合いとなっています。高市新総裁誕生を受け、日銀の利上げ観測が後退したことや、財政出動期待が広がったことを背景に、暗号資産市場も連動して上昇し、史上最高値を更新しました。

MACDも0.00付近から上昇に転じており、10月1日以降は力強いトレンドが維持されています。個人的には、1BTC=2,000万円到達も時間の問題とみています。この上昇局面では、時間足ベースで押し目の水準を丁寧に探る戦略が有効と考えます。

【図表2】BTC/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

BTC/JPYの4時間足では、上昇トレンドが鮮明です。トレンドラインに沿った押し目買いが基本戦略となります。SMA30(黄色)付近までの一時的な調整があれば、追加のエントリーポイントとして注目できるでしょう。

戦略としては、「トレンドラインでの押し目買い」「SMA30での追加エントリー」の2段階構成を想定しています。

一方で、MACDが高値を切り上げる価格とは対照的に下降形状を示しており、ダイバージェンス(逆行現象)が見られます。突発的な悪材料が報じられた場合には、調整局面が強まるリスクもあるため、慎重な対応が望まれます。

前回コラムでの強気スタンスに変更はなく、依然として上昇トレンド継続を基本シナリオとします。短期的な押し目形成には注意しつつ、押し目買い戦略を継続する方針です。

ETH(イーサリアム)、アルトコイン上昇相場には一服感か?

【図表3】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ETH/JPYの日足チャートは、下降トレンドラインに到達しました。9月安値からの上昇率は15%を超え、BTC同様に堅調な動きです。ただし、上値の重さが徐々に意識されており、時価総額の小さいアルトコインほど上昇力の鈍化が目立ちます。

8月に急上昇した反動もあり、アルトコイン市場では出遅れ銘柄が目立ちました。今回もまずはBTC主導でトレンドが形成される可能性が高く、ETHやアルトコインの本格上昇はやや遅れて訪れるとみています。

このため、私自身は短期的にはアルトコインのポジションを縮小し、BTCの押し目買いに資金を集中させる戦略に変更したいと考えています。このポジション調整は今週(10月6日週)前半を目処に完了させる予定です。

第4四半期相場は好スタートを切っており、例年の傾向では10月中旬に一度調整を挟み、下旬から再び上昇に転じるパターンが多く見られます。したがって、上昇局面では段階的に利食いを行い、浅い押し目で買い下がる形で、10月下旬以降の再上昇に備える戦略が有効でしょう。

年末にかけて上昇期待は依然として高いものの、今週はアルトコインの利食いを進めつつ、BTC中心のトレードに軸足を移す方針です。