2025年9月26日(金)8:30発表
日本 東京都区部消費者物価指数2025年9月分速報

【1】結果:東京コアCPIは前年同月比2.5%上昇で前月から横ばい

【図表1】東京CPI 2025年9月速報値結果
出所:総務省よりマネックス証券作成

2025年9月の東京都区部消費者物価指数(以下、東京CPI)は、ヘッドラインの総合指数、コア指標である生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は、市場予想を下回る前年同月比2.5%上昇となり、前回8月から横ばいとなりました。食品類の伸びが鈍化したことが寄与しました。

【図表2】東京CPIの推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

生鮮食品とエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は同2.5%上昇と、前回の3.0%から大きく伸びが鈍化しました。保育所保育料が同60.4%低下となり、9月より東京都で実施された第1子の保育料無償化が、0.3ポイント全体を押し下げました。

【2】内容・注目点:東京特有の要因である保育料無償化の影響から、サービスは伸び鈍化 

【図表3】サービスCPIの推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

東京都区部のサービスCPIは、保育料無償化の影響から公共サービスが前年同月比10.5%低下となったことが寄与し、同1.5%上昇に伸びが鈍化しました。第1子の保育料無償化の影響は東京都特有の要因であり、全国ないしはサービス全般への波及は限定的といえるでしょう。

【図表4】サービス関連の賃金、物価指標の推移(前年同月比、%)
出所:総務省、日本銀行、厚生労働省よりマネックス証券作成

現に、東京CPIにおける一般サービスは同2.3%上昇(図表4、黒)と、横ばいで推移していることから、見かけよりもサービスインフレが弱まったとは考えにくい内容です。一方で、前月比ベースのデータを見ると、季節調整値をしていない原系列ではあるものの、家事関連や通信・教養娯楽が下落しており、若干の不安が残る内容だと考えられます。

【3】所感:利上げ判断は10月の日銀サーベイが判断材料か 

9月25日には、7月に開催された日銀金融政策決定会合の議事要旨が公表されました。その中で、政策委員の1人が「米国経済が想像以上に持ちこたえるようであれば、早ければ年内にも現状の様子見モードが解除できるかもしれない」と発言しています。先週9月18・19日の金融政策決定会合で政策金利引き上げを主張した二人の審議委員と併せて、日銀内でも利上げの意識が高まっているものと考えられます。

従前からの、「データの確認を待ちたい」との日銀の姿勢を鑑みると、10月会合までには日銀短観や地域経済報告(さくらレポート)、生活意識に関するアンケート調査などの発表があり、これらの内容が利上げへの判断材料となるでしょう。これらのサーベイから国内景況感に懸念がみられない場合、利上げ可能性が高まるものと思われます。

個人的には、盤石とはいえないサービス物価などから推察すると、利上げを急ぐ必要は乏しく、2025年の賃上げ動向も見え始める12月に利上げが妥当のように予想しています。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太