長いスパンでトレンドを取るトレードをするなら豪ドル/円
米ドル/円相場は146.50円~149円の狭いレンジでもみ合いが続いています。減速が見えてきた米労働市場やFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ再開、トランプ政権によるFRBへの圧力、日銀の年内利上げ観測など材料は豊富で、1日1~2円とそこそこ値動きはありますが、短期トレードに徹する必要があることと逆張りであることから、なかなか手掛けにくい相場です。もう少し長いスパンでトレンドを取るトレードをしたいというのであれば、今は豪ドル/円が注目です。
豪ドル/円は今週(2025年9月8日週)の上昇で2025年7月の高値97.43円を超えてきました。年初来の高値は1月の99.15円ですが、4月に向けて下落が続き、トランプ米大統領が世界の相互関税を発表したタリフショックの急落では86.02円まで円高・豪ドル安が進行しました。以降はリバウンド相場に入っています。直近高値を抜けたことで、年初来の高値99円台を目指すトレンドも見えてきました。
なぜ豪ドル/円が強いのか
「キャリートレード」がリスク選好相場では盛んになる
為替市場では豪ドルやNZドルなどオセアニア通貨は「リスク選好相場」で買われやすい傾向にあります。比較的金利が高いため、リスク選好相場では低金利の円を売って豪ドルやNZドルを買う「キャリートレード」が盛んとなるためです。今、米国株市場ではダウ平均もS&P500も史上最高値を更新し、日本株市場でも日経平均やTOPIXが史上最高値を更新する典型的なリスク選好相場となっています。
通常、リスク選好相場ではドル円も買われやすいのですが、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での米利下げや日銀の年内利上げ観測で日米金利差縮小が意識され、米ドル/円相場はこう着しました。そこで注目されているのが豪ドル円です。
ゴールドや鉄鉱石などの資源高にも注目
ゴールドも9月再び史上最高値を更新する強さをみせていますが、豪州は世界第3位のゴールド生産国です。ゴールド高は豪ドル高の連想をもたらします。また豪州は鉄鉱石輸出大国ですが足元では鉄鉱石価格も上昇しています。こうした資源の輸入大国である中国株が今年大きく上昇していることも豪ドル高につながっていると思われます。
8月RBA(オーストラリア準備銀行)会合で利下げ発表も今後の利下げには慎重
RBAは2025年2月、5月、8月と3回の利下げを実施しました。利下げ警戒もあり2024年秋口から豪ドルの下落が続いていました。8月12日のRBA(オーストラリア準備銀行)会合でブロック総裁は、さらなる利下げの可能性を認めつつも、大幅利下げに慎重な姿勢を示しています。今後の利下げぺースが鈍化する可能性が出てきたことから、豪ドルが買いやすくなっていると考えられます。
豪ドル高が期待できるのはあくまで現在の株高、資源高と言ったリスク選好相場が継続することが条件ですが、米利下げ再開がリスク選好相場を支えるとみられ、ここから豪ドル円は100円方向へトレンドを形成していくのではないでしょうか。
