モトリーフール米国本社 – 2025年8月19日 投稿記事より

AI時代の電力需要を担うコンステレーション・エナジー

この1年間で、コンステレーション・エナジー[CEG](以下、コンステレーション)は、膨大なデータを扱うハイパースケーラーの電力需要拡大を支える主要企業として存在感を高めてきました。すでにマイクロソフト[MSFT]やメタ・プラットフォームズ[META]といった大手テクノロジー企業と画期的な契約を結んでおり、信頼性の高いカーボンフリーエネルギーを供給する主要サプライヤーとしての地位を確立しています。

ハイパースケーラーによるデータセンター拡張が加速する中、安定したクリーン電力へのアクセスはかつてないほど重要になっています。コンステレーションが保有する大規模な原子力発電所群は、規模・信頼性・持続可能性を兼ね備えた電力ソリューションを提供し、テクノロジーの将来成長を支える欠かせない存在となっています。

AIが牽引する電化の波に乗ろうとする投資家にとって、コンステレーション・エナジーは注目に値する企業です。ただし投資先として妥当かどうかを判断する前に、同社の現状と今後の可能性を詳しく見ていきましょう。

米国で大規模な原子力発電所群を所有・運営するコンステレーション

コンステレーションは、米国で大規模な原子力発電所群を所有・運営し、データセンター・企業・政府等にクリーンエネルギーを供給しています。同社は14基の原子力発電所を所有し、約22ギガワット(GW)の発電容量を誇る米国最大の原子力発電所事業者として確固たる地位を築いています。

さらに、同社は原子力発電所の運営効率でも業界をリードしています。過去3年間の平均稼働率は94.6%を達成しています。これは2013年以降の業界平均を、約4ポイント上回る水準です。この高稼働率は、コンステレーションが原子炉1基あたりでより多くの収益を生み出し、設備の耐久性を高めていることを意味します。結果として、需要が急増する局面においても安定的に発電を継続できる強みを備えているのです。

主要テクノロジー企業との契約締結で将来収益の見通しが明確に

この1年は、コンステレーションにとって大きな節目となる出来事が続きました。同社は、クリーンで信頼性の高い電力を必要とする主要テクノロジー企業と複数の長期契約を締結しました。2024年、同社はマイクロソフトと20年間の電力購入契約を締結し、その一環として、スリーマイル島原子力発電所1号機を再稼働し、その名称を「クレーン・クリーン・エネルギー・センター(CCEC)」に変更する予定です。この発電所は2028年半ばに稼働開始の予定です。

また、(イリノイ州に同社が保有する)クリントン・クリーン・エネルギー・センターは、メタ・プラットフォームズと20年間の電力購入契約を締結しました。さらに、米国一般調達局(GSA)から総額10億ドルを超える契約を獲得しました。その中には、10年間で8億4,000万ドルの契約(2025年から年間100万メガワット時(MWh)超えの電力を供給)が含まれます。これはGSA史上最大のエネルギー調達契約でしょう。

さらなるAIによる電力需要に対応するため、天然ガスや地熱による発電可能なカルパイン・コーポレーションを買収

主要顧客との契約に加え、2025年初め、コンステレーションはカルパイン・コーポレーション(以下、カルパイン)を総額266億ドル(負債含む)で買収することで合意しました。コンステレーションは、自社の原子力発電所群にカルパインの信頼性の高い(需要に応じて)調整可能な天然ガスと地熱発電資産を組み合わせることで、この買収が大きな転換点になると位置付けていいます。

カルパインの発電構成は、27GWを超える発電容量をもつ天然ガス、地熱、バッテリー貯蔵、太陽光発電を中心に構成されます。これにより、コンステレーションの既存の多様な発電構成(原子力、水力、風力、太陽光発電を含む)が大幅に拡大されます。

この統合により、コンステレーションは規模の拡大・市場の多様化・補完的な電源能力を獲得し、多様なエネルギー需要に応える体制を強化します。さらに、ペンシルベニア州・ニュージャージー州・メリーランド州(PJM)、テキサス州、カリフォルニア州、ニューイングランド地方など需要の高い市場での存在感も高めています。

今回の買収は、2026年にはコンステレーションの調整後1株当たり営業利益を20%超押し上げ、2029年までに1株当たり少なくとも2.00ドルの増益効果をもたらすと予想されています。また、年間20億ドルを超えるフリーキャッシュフローの増加も見込まれています。

コンステレーション・エナジーに投資妙味があるか

コンステレーション・エナジーの株価バリュエーションは、33.6倍を超える高水準で、同規模の同業他社に比べて割高感があります。この高いバリュエーションは、長期的な電力価格の上昇やAIによる需要拡大の想定に基づいているため、変動リスクにさらされる可能性があります。

しかし、同社は再生可能エネルギー資産を幅広く保有しており、膨大な電力を必要とするデータセンターに電力を供給しようとするハイパースケーラーにとって、すでに頼りになるパートナーとなっています。さらに、拡大した発電構成と既存のクリーンエネルギー資産や出力増強機会を組み合わせることで、増加する発電需要に対応できる体制を整えています。こうした点を踏まえると、コンステレーション・エナジーは短期的な価格変動リスクを抱えつつも、長期保有に適した魅力的な銘柄といえるでしょう。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Courtney Carlsenはマイクロソフトの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、コンステレーション・エナジー、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は以下のオプションを推奨しています。マイクロソフトの2026年1月満期の395ドルコールのロング、マイクロソフトの2026年1月満期の405ドルコールのショートを推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。