NYダウは1000米ドル以上の暴落=2022年8月26日

2022年は2月のロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに世界的なインフレとなったことから、FRBも3月から利上げを開始し、その後利上げ幅を0.75%まで拡大していた。そうした中で、8月26日にジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演が行われた。

この講演の中で、パウエル議長は「インフレ低下を確信するにはほど遠い」と発言し、大幅利上げの継続を強く示唆した。これを受けて、NYダウはその日だけで1000米ドル以上の暴落となった(図表1参照)。これが「ジャクソンホールショック」と呼ばれた株価の暴落だったわけだ。

【図表1】NYダウの推移(2022年)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

パウエル発言に対して米金利は上昇で反応、日米金利差(米ドル優位・円劣位)は拡大したことから、米ドル/円は株価暴落を尻目に金利差拡大に沿う形で一段高へ向かった(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日米10年債利回り差(2022年)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

「ジャクソンホールショック」再現なら為替はクロス円に注目

8月22日に予定されている今回のジャクソンホール会議でのパウエル発言はどうなるのか。8月1日の米雇用統計発表をきっかけに浮上した労働市場の急悪化懸念などを理由に利下げ再開を支持するのか、それとも7月PPI(生産者物価指数)の上昇や株高に伴う資産効果などインフレ再燃リスクを理由に、「物価の番人」はなお利下げ再開に慎重な姿勢を示すのか。仮に後者だった場合、「ジャクソンホールショック」が再現しないだろうか。

もしも「ジャクソンホールショック」の再現となった場合、早期利下げ再開を織り込んだ米金利は上昇する可能性が高いだろう。では、米ドル/円もそれに連れて上昇するのだろうか。

株価暴落が起こった場合、為替相場で注目されるのはユーロ/円などの円かもしれない。ユーロ/円は6月以降大きく上昇したが、それは日独金利差などでは全く説明できない動きであり、しいて言うなら株価の上昇に連れた可能性があった(図表3、4参照)。その意味では、もしも「ジャクソンホールショック」が再現となった場合は、ユーロ/円などのクロス円の動きが、米ドル/円にも影響する可能性があるかもしれない。

【図表3】ユーロ/円とNYダウ(2025年4月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成  
【図表4】ユーロ/円と日独10年債利回り差(2025年4月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成