東京市場まとめ

1.概況

日経平均は45円安の39,542円と続落して寄付きました。トランプ米大統領が日本と韓国に対し、来月8月1日から25%の関税を課すと通告し、世界景気の悪化懸念から前日の米国市場では主要3指数が揃って下落しました。序盤は下げて始まった日経平均ですが、早々に上昇に転じ、上げ幅を広げる展開となりました。ドル円相場が1ドル146円台半ばまで円安に振れたことも投資家心理を支え、9時44分には228円高の39,816円をつけて本日の高値を更新しました。その後は伸び悩み、123円高の39,711円で前引けとなりました。

後場も堅調に推移しました。関税政策への過度な警戒感は和らいだものの、上場投資信託(ETF)の分配金捻出に伴う売りへの警戒感などが上値を抑え、後場の後半は39,700円付近で一進一退の動きとなりました。主だった買い材料に欠ける中、日経平均は最終的に101円高の39,688円で取引を終えました。

新興市場では東証グロース250指数が3日続伸し、2.0%高となりました。

2.個別銘柄等

オムロン(6645)は8.1%高の3,788円をつけて大幅反発となりました。7日、戦略的パートナーとしてジャパン・アクティベーション・キャピタルが、経営陣との合意のもと企業価値向上を目的に、少数株主として出資し経営支援も行うと発表し、これが企業価値向上への期待感につながり、買いが優勢となりました。

住友電気工業(5802)は一時8.6%高の3,284円をつけ、上場来高値を更新しました。外資系証券が同社の投資判断を「中立」から「買い」に引き上げ、目標株価を従来の2,800円から4,300円に引き上げたことが買い材料となりました。アナリストは「今後数年の間に、高収益な生成AI・データセンター向け光製品を扱う情報通信事業の業績貢献割合が増加し、全社利益率の改善が見込まれる」と指摘しています。

丸井グループ(8252)は5.1%安の2,920.5円をつけ、3日ぶりに反落となりました。同社の大株主である東宝(9602)と三菱UFJ銀行が、発行済み株式総数の4.9%に相当する計893万8,800株を売却すると発表し、これが短期的な株式需給の悪化に繋がることを懸念した売りを誘いました。

ウェザーニューズ(4825)は一時6.1%高の4,260円をつけ、年初来高値を更新しました。7日に発表した2026年5月期(今期)の当期純利益は前期比12.4%増の35億円で過去最高となる見通しで、概ね市場予想通りの増収増益ガイダンスが好感され、買いが入りました。

大型中古書店チェーン「古本市場」を運営するテイツー(7610)は一時10.2%高の162円をつけ、年初来高値を更新しました。7日に発表した6月のグループ売上高は前年同月比33%増となり、5月の3%減から一転して増収となったことで、これを好感した買いが入りました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は101円高と反発して取引を終えました。米政権が日本に25%の関税を課すと伝えたものの、市場の反応は限定的でした。同関税は8月1日から適用される予定で、交渉期限が延びた形となります。

ただし、この期間の大半は国内の参議院選挙と重なり、政権基盤が盤石とは言えない現政権では交渉の進展は限定的にとどまる可能性があります。とはいえ、一時的に不透明感が和らいだ面もあり、今月は交渉の進展を見極めつつ、決算銘柄を中心とした物色が続く展開が想定されます。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)