【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 43,819.27 △432.43 (6/27)
NASDAQ: 20,273.46 △105.55 (6/27)
1.概況
先週末の米国市場では、主要3指数が揃って続伸しました。ラトニック米商務長官は26日、中国側がレアアース(希土類)の輸出規制を緩和することなどを盛り込んだ協定に、両国が署名したと明らかにしました。米国による通商交渉の合意進展への期待が高まり、株価を押し上げる要因となりました。一方で、トランプ米大統領がカナダとの貿易協議を打ち切ると発言したことで、一時的に売られる場面も見られました。しかし、これまでのTACOトレードを意識した展開となるなか、引けにかけては買い戻しの動きが広がりました。
ダウ平均は118ドル高の43,505ドルで取引を開始した後、上げ幅を広げ、一時は579ドル高の43,966ドルまで上昇しました。高値を付けた後は伸び悩み、上げ幅が180ドル高まで縮小する場面もありましたが、引けにかけてはしっかりの買い戻しが入り、結局432ドル高の43,819ドルで取引を終え、続伸となりました。
また、S&P500株価指数は32ポイント高の6,173ポイントで取引を終え続伸し、過去最高値を更新しました。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も、105ポイント高の20,273ポイントで5日続伸し、こちらも過去最高値を更新しました。
2.経済指標等
米ミシガン大が発表した6月の消費者態度指数(確報値)では、1年先の予想インフレ率は5.0%と、前月から1.6ポイント下がりました。6月の米個人所得は、前月比0.4%の減少となり、市場予想(0.2%上昇)と前回結果(0.7%上昇)を下回りました。同時に発表された個人消費支出(PCE)は0.1%減少となり、市場予想と前回結果(ともに0.2%上昇)を下回りました。また、PCEデフレータは前年同月比2.3%と市場予想通りの結果となりましたが、変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレータは2.7%となり市場予想と前回結果(ともに2.6%上昇)を上回りました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち9業種が上昇となりました。なかでも、一般消費財・サービス、コミュニケーション・サービス、資本財・サービスは1%以上上昇しました。一方で、エネルギーとヘルスケアの2業種は1%未満の下落となりました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は、全30銘柄のうち24銘柄が上昇となりました。特に、ナイキ[NKE]は第4四半期決算で市場予想を上回る売上高、EPS(1株当たり純利益)を達成し、15.2%上昇しました。また、ボーイング[BA]は6%近く上昇したほか、アマゾン・ドットコム[AMZN]やユナイテッドヘルス・グループ[UNH]、マクドナルド[MCD]は2%超上昇しました。その他、アメリカン・エキスプレス[AXP]やエヌビディア[NVDA]、ホームデポ[HD]など7銘柄が1%以上上昇しています。一方で、アイビーエム[IBM]やアムジェン[AMGN]、ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]など6銘柄が下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、クルーズ船運営のカーニバル[CCL]がアナリストによる投資判断の引き上げを受けて、4.2%上昇しました。その他、アーム・ホールディングス[ARM]は4.6%高、アルファベット[GOOGL]は2.9%高、ネットフリックス[NFLX]は1.3%高となりました。一方で、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]は9.4%下落してS&P500株価指数構成銘柄の値下がり率ランキングでワーストとなりました。また、配車サービスのウーバー・テクノロジーズ[UBER]とリフト[LYFT]はアナリストによる投資判断の引き下げを受けて下落しました。それぞれ、ウーバー・テクノロジーズは1.7%安、リフトは0.8%安となりました。
5.為替・金利等
米長期金利は、前日から0.03%高い4.27%で取引を終えました。ドル円は、144円台半ばで推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
先週末の米国市場では、主要3指数が揃って続伸し、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数はともに過去最高値を更新しました。この流れを受けて、本日の日本市場も上昇して始まると予想され、日経平均が4万円台で下値を固められるかが注目されます。
国内では、本日寄付き前に5月の鉱工業生産速報値が発表される予定です。また、7月1日(火)には日銀短観が公表される予定です。
一方、米国市場は今週7月4日(金)が独立記念日の祝日で休場となるため、6月の米雇用統計は前倒しで7月3日(木)に発表される予定です。そのほかにも月初の主要経済指標の発表が相次ぐなかで、日米貿易交渉に大きな進展が見られない状況にあり、上値では利益確定売りが出やすくなりそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)