東京市場まとめ
1.概況
日経平均は42円安の38,130円と続落で寄付きました。ドル円相場が1ドル142円台と円高に推移したことを背景に、主力の輸出関連銘柄に売りが出ました。また、イスラエルがイランを攻撃したと伝わり、リスク回避目的の売りが膨らみ、10時32分には632円安の37,540円をつけ本日の安値を更新しました。その後は持ち直し、前場は507円安の37,665円で取引を終えました。
後場は下げ渋り、37,700円付近で一進一退に推移しました。後半にはドル円相場が円安に振れたことで、下げ幅を縮小した日経平均は最終的に338円安の37,834円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が続落、1.5%安で取引を終えました。
2.個別銘柄等
INPEX(1605)は3.0%高の2,122.5円をつけ6日続伸となりました。イスラエルによるイランへの攻撃を背景に、中東情勢の緊張の高まりから原油の需給が引き締まり、またそれによる原油高を材料として、石油開発事業を手掛ける同社に買いが入りました。
ネクソン(3659)は8.4%高の2,850円をつけ3日ぶりに大幅反発となりました。ブルームバーグ通信は「中国ネットサービスの騰訊控股(テンセント)が買収を再び探っていることがわかった」と報じ、この報道を受けて買収によるプレミアム拡大を目論んだ思惑買いが入りました。
日本製鉄(5401)は1.5%安の2,829円をつけ続落となりました。トランプ米大統領は同社によるUSスチール[X]買収計画について「我々は(USスチールの)黄金株を持つ。大統領がコントロールする」と述べ、買収成立の確度が高まったとの見方が広がる一方で、同社にとっては経営面の制約や買収による巨額の財務負担への警戒が売りを呼びました。
ネット印刷やノベルティ事業を展開するラクスル(4384)は8.5%安の1,139円をつけ急落となりました。12日、2025年7月期(今期)の当期純利益が前期比27.4%増の27億円になる見通しだと発表し、市場予想コンセンサスを下回るガイダンスが嫌気されたほか、足元で株価は上昇傾向にあったので、決算発表を受けていったん利益確定の売りが出ました。
iPS細胞を利用した心臓の再生医療を手がけるHeartseed(219A)はストップ高水準となる23.0%高の3,750円をつけ、大幅反発となりました。12日に発表した2025年12月期(今期)の第2四半期決算にて、最終損益が7.07億円の黒字と発表し、研究開発投資の先行で通期ベースでは最終赤字が続いてきた中で、黒字転換を評価した買いが入りました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は週間で92円(0.2%)高と週間ではほぼ横ばいとなりました。地政学リスクの高まりが株安を招いたものの、後場は下げ渋り、一定の底堅さがうかがえました。来週に向けて、注目の材料は、15日から開催される主要7カ国首脳会議(G7)での関税交渉や、16,17日に予定されている日銀の金融政策決定会合と17,18日に予定されている米国のFOMC(米連邦公開市場委員会)があげられます。
日銀は今会合での利上げは見送られる可能性が高いものの、国債購入の削減計画が見直される公算が高いとされています。また、FOMCでは今週発表された米国の物価指標が鈍化傾向を示す中で、利下げ時期のヒントがあるかに注目です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)