【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 42,319.74  ▼108.00 (6/5)
NASDAQ: 19,298.45  ▼162.04 (6/5)

1.概況

昨日の米国市場では、主要3指数が揃って下落しました。6日に雇用統計の発表を控えるなか、米新規失業保険申請件数が市場予想に反して悪化を示したことで、労働市場の減速懸念が相場の重荷となりました。また、テスラ[TSLA]の急落も投資家心理を冷やす要因となりました。一方で、トランプ大統領が中国の習近平国家主席との電話会談が前向きに終了したと述べたこともあり、貿易交渉の進展期待から下値は堅い展開となりました。

ダウ平均は60ドル高の42,487ドルで取引を開始した後、一進一退の展開が続き、高値は173ドル高の42,601ドルを付けました。一方、取引終盤には216ドル安の42,211ドルまで下落し、最終的には108ドル安の42,319ドルで取引を終え、続落となりました。

また、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は162ポイント安の19,298ポイント、S&P500株価指数は31ポイント安の5,939ポイントで取引を終え、いずれも反落しました。

2.経済指標等

5月の米貿易収支は616億ドルの赤字となり、前月(1,383億ドルの赤字)から赤字幅が縮小しました。先週一週間の新規失業保険申請件数は前週比8,000件増の24万7,000件となり、市場予想に反して悪化を示しました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうちコミュニケーション・サービスの1業種のみが小幅に上昇しました。一方で、その他の10業種が下落となり、特に一般消費財・サービスが2%以上下落したほか、生活必需品も1%以上下落しました。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は30銘柄中10業種が上昇となり、なかでもセールスフォース[CRM]とゴールドマン・サックス[GS]が1%以上上昇しました。そのほか、マイクロソフト[MSFT]やアイビーエム[IBM]、シスコシステムズ[CSCO]などが1%未満の上昇となりました。一方で、20銘柄が下落となり、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]が2%近く下落したほか、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]、ウォルマート[WMT]、ボーイング[BA]、エヌビディア[NVDA]、シャーウィンウィリアムズ[SHW]、アップル[AAPL]が1%以上下落しています。

ダウ平均構成銘柄以外では、ダラー・ツリー[DLTR]が9.1%上昇して、S&P500株価指数の値上がり率ランキングでトップとなりました。アナリストによる投資判断の格上げや目標株価の引き上げが伝わり、買いが集まりました。また、工業用包装製品のグライフ[GEF]は、第1四半期決算で市場予想を上回る売上高、EPS(1株当たり純利益)を達成したほか、第2四半期の調整後EBITDA見通しを引き上げたことが好感され、15.6%上昇しました。一方で、コストコ・ホールセール[COST]は、5月の既存店売上高成長率が市場予想を下回ったことで、3.9%下落しました。また、テスラ[TSLA]は、中国や欧州での販売台数が予想を下回ったことを受け下落基調が続くなか、同社CEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏とトランプ米大統領の対立が激化し、政策による支援期待が薄れたことで、株価は14.3%下落しました。

5.為替・金利等

米長期金利は、前日から0.04%高い4.39 %で取引を終えました。ドル円は、143円台半ばで推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場で主要3指数が揃って下落した流れを引継ぎ、軟調なスタートが予想されます。雇用統計の発表を控えポジションが一方向に傾きにくいなか、日経平均は、25日移動平均線の37,442円(5日時点)などをサポートに下げ渋り、底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)