東京市場まとめ
1.概況
前日の米国市場にてハイテク株高となった流れを引き継ぎ、日経平均は175円高の37,161円と反発して寄付きました。値がさ株である半導体関連銘柄が指数を押し上げ、また為替相場は1ドル143円台後半と前日の大引けから円安ドル高に推移したことも相場を支えました。堅調に推移した日経平均は、10時31分に388円高の37,373円をつけ本日の高値を更新しました。その後は伸び悩むも、294円高の37,280円で前引けとなりました。
後場はドル円相場にて、円が下げ渋るのに合わせて日経平均も上げ幅を縮小する展開となりました。週末に予定されている日米関税交渉を前に持ち高調整の動きも見られ、また上値を追う材料にも欠ける中で、最終的には174円高の37,160円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が3日続落となる0.2%安で取引を終えています。
2.個別銘柄等
住友電気工業(5802)は4.8%高の2,823円をつけ続伸で取引を終えました。22日、投資家向けの会社説明会を開催し、2026年3月期(今期)の当期純利益は前期比1.9%減の1,900億円と減益を見込んでいるものの、説明会にて事業環境の先行きにポジティブな見通しを示したことで、買いが集まりました。
富士通(6702)は3.9%高の3,320円をつけ4日ぶりに反発となりました。防衛産業大手の米ロッキード・マーチン[LMT]と艦艇等に搭載するレーダーの部品調達の分野で提携したと発表し、防衛関連のニュースを材料視した買いが集まりました。また、外資系証券が目標株価を従来の3,400円から3,600円に引き上げたことも株価を支えました。
コナミグループ(9766)は2.8%高の19,345円をつけ反発となりました。国内証券が、同社の目標株価を従来の17,600円から21,000円に大きく引き上げ、これを材料視した買いが入りました。担当アナリストは高い利益成長に期待できる局面として、2026年3月期以降の営業利益予想を上方修正しています。
大手造船会社の名村造船所(7014)は5.7%高の2,091円をつけ反発となりました。読売新聞は「政府が、国内で縮小が続く造船業の再生に乗り出すことがわかった」と報じ、造船業における事業環境に追い風となるとの見方から関連銘柄に買いが入りました。内海造船(7018)は一時ストップ高水準となる14.5%高まで上昇し、また船舶用エンジンを手掛ける三井E&S(7003)は3.5%高となりました。
ロート製薬(4527)は3.0%安の2,040.5円をつけ反落で取引を終えました。国内証券が同社の投資判断を最上位の「買い」から真ん中の「中立」に引き下げ、また目標株価は従来の2,700円から2,200円に見直したことが、売り材料となりました。担当アナリストは想定以上に同社の日本での競争環境が厳しくなっているとコメントしています。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は週間で1.6%安、TOPIXは0.2%安と共に売りが優勢で取引を終えました。来週にむけて、まずは週末予定される3回目の日米関税交渉に注目が集まります。自動車や鉄鋼における関税の譲歩を得られるかが焦点となりますが、ベッセント米財務長官は欠席する見通しともあって、今回の交渉での進展は限定的と考えられます。
また、来週の注目イベントは米国時間28日に5月6日・7日分のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨が公表され、目先の金融政策の見通し等ヒントが得られるかに注目です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)