【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 41,859.09  ▼1.35 (5/22)
NASDAQ: 18,925.74  △53.09 (5/22)

1.概況

昨日の米国市場では、主要3指数が小幅に高安まちまちとなりました。米連邦議会下院は22日朝、トランプ減税の恒久化を含む減税法案を可決しましたが、前日まで財政悪化懸念から上昇していた米長期金利が一服したことを受け、主力株を中心に見直し買いが入りました。また、新規失業保険申請件数や5月の製造業PMI、サービス業PMIといった各種経済指標が市場予想を上回る内容だったことも、相場の支えとなりました。一方で、財政悪化による米長期金利の上昇に対する警戒感は根強く、取引終盤にかけては急速に売られる展開となりました。

ダウ平均は96ドル安で始まり、一時は146ドル安まで下げ幅を広げる場面もありました。その後、安値を付けた後は買い戻されプラスに転じると、一時は229ドル高の42,090ドルまで上昇しました。しかし、引けにかけて急速に売られ、最終的には1ドル安の41,859ドルで取引を終え、4日ぶりに小幅に反落しました。

また、S&P500株価指数も2ポイント安の5,842ポイントで取引を終え、こちらも4日ぶりに小幅に反落しました。一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は53ポイント高の18,925ポイントで取引を終え、3日ぶりに小幅に反発しています。

2.経済指標等

先週一週間の米新規失業保険申請件数は、前週比2000件減の22.7万件となり、増加(悪化)を見込んだ市場予想に反して、米労働市場の改善を示しました。また、米S&Pグローバルが発表した5月の米総合購買担当者景気指数(PMI)の総合値は、52.1となり前月の50.6を上回りました。また、製造業PMIとサービス業PMIはいずれも52.3となり、それぞれ前回結果と市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数は前月比0.5%減の400万戸となり、市場予想を下回りました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数は、全11業種のうち一般消費財・サービスやコミュニケーション・サービス、情報技術の3業種が小幅に上昇となりました。一方で、8業種が下落しており、公益事業が1%以上、ヘルスケアやエネルギー、不動産などが1%未満の下落となりました。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は、全30銘柄中15銘柄が上昇となりました。なかでもナイキ[NKE]が2%超上昇したほか、メルクが1%超上昇、アマゾン・ドットコム[AMZN]が1%近く上昇しました。一方で、15銘柄が下落となり、特にユナイテッドヘルス・グループ[UNH]は2%超下落しました。また、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]とホームデポ[HD]が1%超下落したほか、コカコーラ[KO]とアイビーエム[IBM]が1%近く下落しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、クラウドベースのSaaS型データウェアハウスを提供するスノーフレイク[SNOW]が、第1四半期決算で市場予想を上回る売上高、EPS(1株当たり純利益)を達成したほか、通期の見通しも上方修正したことを受け、株価は13.4%上昇しました。また、暗号資産取引プラットフォームを運営するコインベース[COIN]は、ビットコインが過去最高値を更新したことを受け、5.0%上昇してS&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。そのほか、テスラ[TSLA]は1.9%高、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]とアルファベット[GOOGL]は1.4%高となりました。

一方で、米下院共和党が提案した新たな税制・歳出法案の修正により、クリーン電力向けの税制優遇措置の終了時期が前倒しされたことが嫌気され、太陽光発電関連株が揃って下落となりました。エンフェーズ・エナジー[ENPH]は19.6%下落してS&P500構成銘柄の値下がり率ランキングでワーストとなったほか、サンラン[RUN]は37.1%安、ファースト・ソーラー[FSLR]は4.3%安、アレイ・テクノロジーズ[ARRY]は3.1%安となりました。

5.為替・金利等

米長期金利は、前日から0.07%低い4.53 %で取引を終えました。ドル円は、143円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

昨日の米国市場は、主要3指数は小幅に高安まちまちとなりました。一方、ハイテク株や主力株を中心に見直し買いの動きが入っていることから、日本市場は小高く始まることが予想されます。

日経平均は、節目の3万7000台を回復した後、その水準を維持できるかがポイントとなりそうです。本日は、国内では寄付き前の全国消費者物価指数(CPI)のほか、14:30発表予定の百貨店売上高などの結果に注目が集まります。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)