【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 41,860.44 ▼816.80 (5/21)
NASDAQ: 18,872.64 ▼270.07 (5/21)
1.概況
昨日の米国市場では、主要3指数が揃って大幅に続落しました。米国の財政悪化への懸念が高まる中、米20年債の入札が不調となり長期金利が上昇したことが嫌気され、株式市場では売りが広がりました。また、一部の小売企業が決算で市場予想を下回り、業績見通しを下方修正したことが、消費関連銘柄の売りにつながりました。
ダウ平均は322ドル安の42,354ドルで寄付き、一時は237ドル安まで下げ幅を縮める場面も見られました。その後、午前中は同水準で推移したものの午後に入って一段と下落し、下げ幅は一時892ドル安まで拡大しました。最終的には816ドル安の41,860ドルで取引を終え、大幅続落となりました。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は270ポイント安の18,872ポイント、S&P500株価指数は95ポイント安の5,844ポイントで取引を終え、いずれも大幅に続落しました。
2.経済指標等
米MBA住宅ローン申請指数は、前週比5.1%低下となり、前回結果(1.1%上昇)を下回りました。米原油在庫は、前週比132.8万バレル増となり、市場予想(105.0バレル減)を上回りました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数は、1業種コミュニケーション・サービスのみが1%未満の上昇、残り10業種すべてが下落となりました。なかでも、不動産やヘルスケア、金融が2%以上下落したほか、公益事業や一般消費財・サービス、エネルギー、情報技術、資本財・サービス、素材が1%以上下落しました。また、生活必需品も1%近く下落しています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は、30銘柄中、コカコーラ[KO]の1銘柄のみが小幅に上昇しました。一方で、29銘柄が下落となり、なかでもユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が5%超下落しました。また、ナイキ[NKE]は4%超下落し、アメリカン・エキスプレス[AXP]とスリーエム[MMM]は3%超下落、ビザ[V]、アップル[AAPL]、アイビーエム[IBM]、ゴールドマン・サックス[GS]、ボーイング[BA]、セールスフォース[CRM]、キャタピラー[CAT]は2%以上下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、アルファベット クラスC[GOOG]が2.9%上昇して、S&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。同社は、グーグル開発者会議で、AI(人工知能)を用いた検索サービス「AIモード」を全米のユーザーに提供すると発表したことが好感されています。一方で、ディスカウントストア2位のターゲット[TGT]は、第1四半期決算で市場予想を下回る売上高、EPS(1株当たり純利益)となったほか、通期のEPS見通しを下方修正したことで、株価は5.2%下落しました。その他、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]は4.0%安、インテル[INTC]とテスラ[TSLA]は2.7%安、アプライド・マテリアルズ[AMAT]は2.1%安、クアルコム[QCOM]は1.6%安、ASMLホールディング[ASML]は1.5%安となりました。
5.為替・金利等
米長期金利は、前日から0.12%高い4.60 %で取引を終えました。ドル円は、一時143円台半ばまで円高方向に進展したものの、ベッセント米財務長官と加藤財務大臣の会談を受け、「為替水準については議論されなかった」と発表されると、円安方向に戻し、朝方は144円前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場で主要3指数が揃って大幅に下落したことを受け、本日の日本市場も下落してのスタートが予想されます。日経平均は、節目の3万7000円を下回って下げ幅を広げる展開が想定されます。本日も、引き続き通商政策を巡る政治ニュースなどを受けた為替や金利動向に神経質な展開となりそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)