2024年8月5日の安値を更新するも大幅反発

前回のコラムでは、下降トレンドが発生しているなか、日経平均が9月11日の終値を維持できるかが注目ポイントと解説しました。また、「仮に2024年9月11日の水準を割り込むようなら、同年8月5日の安値に接近することが視野に入る」とも解説しましたが、実際、9月11日の安値を下回ったことから下降トレンドが継続。4月7日には歴代で3番目となる下げ幅を記録したことに加え、2024年8月5日の安値を下回って終える結果となりました。

4月7日につけた安値が最も安い価格となってしまっていることから、依然として下降トレンドが継続していることになります。

では、どうなれば下降トレンドが反転したことになるのでしょうか? 注目したいのは、本コラムでも常にポイントとして挙げている5日移動平均線と株価の位置関係、そして5日移動平均線の向きです。4月7日は前述の通り大幅安となりましたが、翌8日は逆に歴代で4番目となる上げ幅を記録しており、下向きの5日移動平均線に接近して終えています。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※移動平均線の期間は5日(グレー線)、25日(赤線)、75日(青線)で設定
※出来高はプライム市場
※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示

5日移動平均線を上回って維持できるか?

4月8日時点の5日移動平均線は下向きですが、終値で5日移動平均線に接近して終えており、9日以降の値動きが注目されます。仮に5日移動平均線を上回って維持するようなら、5日移動平均線が上向きに変化してサポートになることが期待されます。

そうなれば、2024年8月5日以降の値動きが繰り返されることが期待されます。一方で、5日移動平均線を上回っても維持できずに押し返されたり、下回ったままで推移したりするなら、下降トレンドが継続することになり、4月7日の安値を更新することが考えられます。リバウンド狙いの買いは控えるか、下げ止まりを確認してから行う必要があるでしょう。

モメンタムに発生したサインが意味するものは?

そうしたなか、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、8日時点で上向きに変化して終えていますが、ここで少し特徴的なサインが出ているのに気が付きます。

そのサインとは「逆行現象」です。下降トレンドで発生する逆行現象とは、株価が安値を更新したにもかかわらず、モメンタムが過去の低い水準を割り込まずに反転することを言います。逆行現象は、株価は安値を更新しているものの下落の勢いが弱まっていることを示し、底入れから反転に向かうサインとも見られています。

そのため、4月7日に2024年8月5日の安値を割り込んで終えたケースでも、モメンタムが8月5日の低い水準を下回らずに反転していることから、底入れの可能性が出てきていることを示していると言えます。

ただ、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が水準を切り上げ、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインに接近するとともに上回るまで安心はできません。なぜなら、モメンタムが0ラインを上回っていないため、上昇が止まったり、下向きに変化したりするときは再び下落の勢いが強まることが考えられるからです。

引き続き、判断が難しい値動きが続きますが、テクニカル指標が示すサインを見逃さないようにし、売買判断に役立てたいところです。