モトリーフール米国本社– 2025年3月15日 投稿記事より

現在、時価総額1兆ドル以上の米国株は7銘柄

米国経済は、1世紀以上にわたり、世界で最も価値のある企業を生み出してきました。1901年にUSスチール[X]が最初の時価総額が10億ドルの企業となりました。その117年後の2018年にはアップル[AAPL]が初めて時価総額1兆ドル企業となりました。

アップルの現在の時価総額は3.3兆ドルで、今も世界で最大です。しかし、2018年以降、マイクロソフト[MSFT]、AI半導体大手エヌビディア[NVDA]、アマゾン・ドット・コム[AMZN]、アルファベット[GOOGL]、メタ・プラットフォームズ[META](旧フェイスブック)、投資会社バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]など、他のいくつかの米国企業が1兆ドルクラブに加わりました。電気自動車(EV)大手テスラ[TSLA]と半導体大手ブロードコム[AVGO]も一時期はメンバーでしたが、最近株価が大幅に下落したため、外れました。

筆者は、今後数年で時価総額が1兆ドルの節目を超える可能性のある銘柄がもう一つあると思います。それはオラクル[ORCL]です。オラクルは、人工知能(AI)開発用のトップクラスのデータセンター・インフラを運営しています。経営陣のガイダンスによれば、事業の一角を占めるこの部門は、長期的に10倍に成長する可能性があるとされています。

本稿執筆時点でオラクルの時価総額は4030億ドルです。もし1兆ドルクラブに加わることができれば、現在株式を購入している投資家は148%という驚異的な利益を得られる可能性があります。

AIデータセンター需要はきわめて強い

AIモデルの開発には2つの重要なフェーズがあります。トレーニングフェーズでは、開発者がモデルに大量のデータを提供し、それを学習させます。推論フェーズでは、モデルがユーザーからの入力を受け取り、それに対する回答を生成します(例えば、チャットボットと対話するようなものです)。これらの両フェーズとも、相当量のコンピューティング容量を必要とし、多くの開発者は、オラクルのような企業からそれを調達しています。

オラクルは、世界最高水準のAIデータセンターを運営しています。データセンターはエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]など、最先端サプライヤーから提供される画像処理ユニット(GPU)を装備しています。これらの半導体は、AIの作業負荷の処理専用に設計されています。実際、オラクルは現在、6万4,000個のエヌビディアのブラックウェルGB200 GPUのクラスターを構築中です。このGPUは現在、業界で最も強力な半導体であり、このクラスターは、あらゆるデータセンター運営者が提供するデータセンターの中でも、最大規模のクラスターの一つとなるでしょう。

開発者がより多くの半導体にアクセスできるようになると、より迅速に、より多くのデータを処理できます。その結果、より「スマート」なAIモデルを展開することが可能になります。しかし、規模の大きさだけがオラクルの優位性ではありません。オラクル独自のランダム・ダイレクト・メモリー・アクセス(RDMA)ネットワーキング技術により、データを従来のイーサネットよりもはるかに高速で移動させることができます。開発者は通常、コンピューティング容量に対して分単位で料金を支払うため、これにより大幅にコストを削減できます。

オラクルは、2月28日までの2025年度第3四半期に、101番目のデータセンター・クラウド・リージョン(個別のクラウド領域)を開設しましたが、需要は供給を大幅に上回り続けています。実際、ラリー・エリソン会長は、AIトレーニング目的だけでも、GPU使用率は過去12ヶ月間で244%という驚異的な増加を記録しており、推論作業の需要も「きわめて大きい」としています。

エヌビディアのジェンスン・フアンCEO(最高経営責任者)は、回答を生成する前に「考えること」により多くの時間をかける次世代のAI推論モデルは、従来のモデルの100倍のコンピューティング容量を消費すると考えています。その結果、推論作業のためのデータセンター容量への需要はこれから本格化するところであり、オラクルが長期的にクラウド・リージョンの規模を1,000~2,000に拡大しようとしているのも当然と思われます。

言い換えると、オラクルは現在運営中のデータセンターの10倍を超えるデータセンターを将来的に展開する可能性があるということです。

オラクル・クラウド・インフラストラクチャーの収入が急増

オラクルは2025年度第3四半期に141億ドルの総収入を計上しましたが、そのうちAIデータセンターを含むオラクル・クラウド・インフラストラクチャー(OCI)部門の収入はわずか27億ドルにとどまりました。

しかし、オラクルの総収入が前年同期比6%の増加にとどまる一方で、OCIの収入は同49%増と急拡大し、組織全体の中で圧倒的な急成長部門となりました。OCI事業は、需要を満たすだけの十分なデータセンターがあれば、もっと速く成長していた可能性があります。そのため、オラクルはより多くの容量が稼働すれば、収入が大幅に拡大すると予想しています。

オラクルのサフラ・キャッツCEOは、5月31日に終了する2025年度のOCI収入が50%を超える増加となる見込みであり、2026年度には成長率がさらに高まると予想しています。

オラクルの将来の可能性を明確に示すため、残存履行義務(RPO)を見ると、RPOは第3四半期に63%増加し、全事業部門では過去最高の1300億ドルに達しました。RPOは将来的に収入に計上される受注残高のようなものであり、エリソン会長は、AIトレーニングおよび推論作業のためのコンピューティング容量に対する需要が、第3四半期のRPOの急増を大きく押し上げた要因であると述べています。

オラクルの1兆ドルクラブへの道筋

オラクルは、過去4四半期の1株当たり利益(EPS)として4ドル26セントを生み出しました。これにより、株価収益率(PER)は33.8倍となり、マイクロソフトやアマゾンなど他のAIクラウド企業のバリュエーションとほぼ同水準です。そのため、株価は必ずしも割安とは言えませんが、割高でもありません。

しかし、ウォール街のコンセンサス予想(Yahoo!提供)によると、オラクルの2025年6月に始まる2026年度EPSは6ドル78セントに達する可能性があるとされています。コンセンサス予想に基づくPERは21.1倍にとどまり、現在のPER33.8倍を維持するだけでも、株価は今後1年ほどで59%上昇する可能性があることを示唆しています。そのシナリオが実現すれば、オラクルの時価総額は6400億ドルに上昇するでしょう。その後、EPSが年率9.3%で成長すれば、5年以内に時価総額が1兆ドルに到達する可能性があります。

その可能性が大きいと考えられる理由は2つあります。1つ目は、2026年度の予想EPSが13%の成長を示していることです。そして2つ目は、経営陣が、OCI部門がけん引する形で収入の成長加速を予想していることです。

オラクルのデータセンターは自動化に大きく依存しています。自動化により、人件費、その他の運営コストが削減されています。その結果、OCI部門が拡大を続ける中で、利益率の向上が予想されており、これが全体のEPSを押し上げることになります。オラクルは現在のデータセンターの規模を今後10倍超に拡大する計画であることを思い出してください。これが長期的に爆発的な利益成長をもたらす可能性があるのです。したがって、オラクルが今後数年で1兆ドルクラブに加わる道筋は明確であり、オラクルの株式はどの分散型ポートフォリオにとっても、最適な追加銘柄になる可能性があると考えています。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。フェイスブック(現メタ・プラットフォームズ)の元市場開発担当ダイレクターおよび広報担当であり、メタ・プラットフォームズの Mark Zuckerberg CEOの姉であるRandi Zuckerberg は、モトリーフール米国本社取締役会メンバーです。John Mackeyはアマゾン・ドット・コムの子会社Whole Foods Marketの元最高経営責任者(CEO)であり、モトリーフール米国本社取締役会メンバーです。アルファベットの役員であるSuzanne Freyはモトリーフール米国本社取締役会メンバーです。元記事の著者Anthony Di Pizio は記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアドバンスト・マイクロ・デバイシズ、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、アップル、バークシャー・ハサウェイ、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、オラクル、テスラの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、ブロードコムを推奨し、次のオプションを推奨しています。マイクロソフト2026年1月限月395ドル・コールオプションのロング、マイクロソフト2026年1月限月405ドル・コールオプションのショート。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。