モトリーフール米国本社 – 2026年2月17日 投稿記事より

アマゾンが挑むAIコンテンツ市場、その投資価値を探る

アマゾン・ドットコム[AMZN](以下、アマゾン)は、人工知能(AI)コンテンツ・マーケットプレイスの創設に取り組むテクノロジー大手の一社です。無断でコンテンツを収集(スクレイピング)すると、著作権に関する重大な法的問題を引き起こす可能性があるため、そのようなコンテンツの流通基盤を整備することは理にかなっていると言えます。

アマゾン株は、同社のeコマース関連事業およびクラウドコンピューティング部門であるAmazon Web Services(AWS)により、すでに十分に投資対象として魅力があるかもしれません。しかし、残念ながら、AI関連コンテンツで利益を得ようと考えている投資家にとっては、この新事業がアマゾン株に大きく寄与をする可能性は低いとみられます。その理由は以下のとおりです。

AWS傘下のAI事業、急成長だが見えにくい実態

確かに、アマゾンはこうしたマーケットプレイスを構築することで、価値あるサービスを提供していると言えるでしょう。

アマゾンの「Amazon Bedrock」(生成AIアプリ開発プラットフォーム)は、AWSを通じてAIスタートアップ企業の基盤モデルへのアクセスを提供しています。また、「Amazon Quick Suite」(ビジネスインテリジェンスプラットフォーム)は、自然言語によるデータ分析、可視化、自動化されたワークフローの構築を可能にします。これらのサービスに法的保護が組み合わされることで、アマゾンにとって新たな収益源となることが期待されます。

しかしながら、投資家にとっては、アマゾンの企業規模の大きさがAIマーケットプレイスの成功をかき消してしまう可能性があります。アマゾンの時価総額は2.2兆ドル近くに達しています。その結果、同社の決算報告には、社内の比較的小規模な事業についての具体的な情報に欠けています。

前述のとおり、この事業はAWSの一環として立ち上げられました。決算報告では、2025年のAWS売上高が1,290億ドル弱(うち第4四半期に360億ドルを計上)であることが明記されていますが、その売上がAWSのどのサービスによって生み出されたのかという内訳は公表されていません。

2025年にAWSの売上高は前年同期比で20%増加しました。ただし、AWSは自社のデータセンターを通じて200以上のフル機能サービスを提供しているとしています。したがって、たとえAIコンテンツ・マーケットプレイスの売上高が3桁の成長率で拡大したとしても、アマゾンが自発的にそのデータを開示しない限り、投資家がその事実を把握することは難しいと考えられます。

さらに、この分野におけるアマゾンの最大の競合相手はマイクロソフト[MSFT]になると見られます。しかし、マイクロソフトの時価総額も約3兆ドル弱と非常に大きく、この事業に関する詳細な情報が開示される可能性は同様に低いと考えられます。その結果、こうした事業の業績を見極めたい投資家にとっては、判断材料が乏しい状況が続くことになりそうです。

AIコンテンツ・マーケットプレイスはアマゾン株への投資の決め手となるか

結論として、アマゾンのAIコンテンツ・マーケットプレイスだけを理由に、同社株が上昇すると期待するべきではありません。確かに、力強い売上高成長の中で、おそらくAWSはアマゾンの「切り札」とも言える存在であり、アマゾン株を保有する大きな理由の1つとなっているとも考えられます。

それでも、AIコンテンツ・マーケットプレイスはAWS傘下の200を超える事業の1つに過ぎず、しかも、投資家は各事業が個別にどのような業績上げているのかを知る術がありません。さらに、その主要な競合相手も同様に大きな時価総額を持つ企業であり、業績を判断するために必要な透明性が確保される可能性は低いと考えられます。

このような理由から、投資家は、AIマーケットプレイスがアマゾンにとって株価上昇の起爆剤(カタリスト)になることを期待すべきではないでしょう。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Will Healyは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、アマゾンおよびマイクロソフトの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。