東京市場まとめ
1.概況
前日の米国市場にて主要3指数が揃って反落した流れを引き継ぎ、日経平均は30円安の36,763円と続落で寄り付きました。朝方は荒い値動きとなり、9時6分に134円安の36,658円をつけ本日の安値を更新するも、すぐに持ち直し同25分には163円高の36,956円をつけ本日の高値を更新しました。ロシアによるウクライナ侵略を巡り、米国が提示した30日間の停戦案をウクライナが受け入れたと伝わりました。地政学リスクの警戒感が後退するも、引き続き米政権による関税の不透明感から一進一退での推移となり、105円高の36,898円で前引けとなりました。
後場の序盤は弱含むも、ドル円相場が円安に推移したことで再び買いが優勢となりました。上げ幅を拡大する場面がみられるも、今晩に米CPI(消費者物価指数)の発表を控えていることもあり、15時頃から上げ幅を急速に縮小し最終的には25円高の36,819円で大引けとなりました。
新興市場では、東証グロース250指数が3日続伸、1.5%高となりました。
2.個別銘柄等
SUBARU(7270)は4.6%安の2,769円をつけ、3日ぶりに反落となりました。トランプ米政権による鉄鋼・アルミニウム関連の輸入品に対する25%の追加関税の発動に伴い、米国に完成車工場を持つ同社にとって生産コストが増えるとの警戒感が売り材料となりました。
キリンホールディングス(2503)は1.3%安の2,046.5円をつけ、3日ぶりに反落で取引を終えました。12日に、ビール大手4社が2月の国内ビール類飲料の販売動向を発表し、キリンビールの販売金額が前年同月比7%減と競合他社に比べ苦戦となったことから株価は軟調に推移しました。
三井ハイテック(6966)は10.8%安の745円をつけ、続落となりました。11日、2026年1月期(今期)の営業利益が前期比18.8%減の130億円になる見通しと発表し、市場予想を下回る内容であったことが嫌気され大幅下落となりました。
再生医療支援サービス会社のセルソース(4880)は2.2%高の832円をつけ、3日続伸となりました。11日に第1四半期決算を発表し、6,200万円の営業赤字となりました。決算を受けて朝方は売りが先行するも、中期的な業績回復に対する期待もある中で次第に持ち直し18円高で取引を終えています。
飲食チェーン「焼肉きんぐ」等を運営する物語コーポレーション(3097)は2.2%高の3,460円をつけ3日続伸となりました。2月の既存店売上高が前年同月比1.7%増となり、堅調な売上動向を評価した買いが入りました。
VIEW POINT: 明日への視点
ドル円相場の円安進行を受け株式市場は底堅く推移しました。明日の材料としては、2月の米CPIに注目が集まります。事前の市場予想ではコア指数で、前年同月比3.2%の上昇が見込まれており、前月の3.3%から0.1ポイント伸びが減速する見込みとなっています。短期的な物価モメンタムを測る前月比も伸びの減速が予想されており、インフレ低下が期待されています。
一方で関税政策の影響は一部に表れると考えられ、市場予想に反して伸びが拡大し、インフレの高止まりが意識されれば、スタグフレーション懸念から株式市場には重石となると考えられます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)