長い下ヒゲと窓埋めが示すもの

前回のコラムで「5日移動平均線を上回っても押し返されたり、5日移動平均線を下回ったままの状態が続いたりするようなら、終値で37,000円を割り込み、2024年9月につけた安値36,000円前後まで下落する可能性が高まるため要注意です」と解説した通りの展開となりました。

3月6日に一旦5日移動平均線を終値で上回りましたが、翌営業日に窓をあけて押し返され5日移動平均線を下回ると、その後も下向きの5日移動平均線に沿って下落が続きました。3月11日には一時1,000円を超す下落幅となるなか、ついに36,000円を割り込んで35,987円まで下落しました。ただ、取引終了にかけて下げ幅を縮めたことから長い下ヒゲを形成するとともに当日の高値で終え、長い下ヒゲの陽線を形成しています。

こうした状況から、テクニカル分析ではいくつかの特徴が見て取れます。1つは、長い下ヒゲ陽線、もう1つは窓埋めです。窓埋めは、2024年9月18日と19日のあいだにあけた窓です。この窓を11日の下落で埋めており、過去にも窓について解説しましたが、株価水準における達成感が出ているところです。また、長い下ヒゲ陽線の発生についても、その後の値動き次第では底入れを示すサインになることがあります。

こうした状況から、3月12日以降の株価動向は非常に重要と言えますが、ここでもカギを握るのは下向きの5日移動平均線を上回って維持できるかどうかです。そのため、5日移動平均線を上回って維持できないようだと、今度は終値で36,000円を割り込むことが視野に入ってくるため注意が必要です。

整理すると、仮に5日移動平均線上を回復して維持するようなら、5日移動平均線が上向きに変化してサポートとなり、3月6日と7日にあけた窓や2月27日と28日のあいだにあけた窓、そして2月19日と20日にあけた窓を埋めることも視野に入るため、株価の戻りが期待されます。

一方で、5日移動平均線を上回って維持することができないようなら、終値で36,000円を割り込むことが考えられるため、買いポジションを持っている投資家は、損失の発生や拡大に注意が必要です。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※移動平均線の期間は5日(グレー線)、25日(赤線)、75日(青線)で設定
※出来高はプライム市場
※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示

モメンタムが上向くか要注目

そうしたなか、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを下回って推移しているのが分かります。ただ、株価の下落ほどモメンタムは低下しておらず、今後上下どちらに大きく動きだすかが注目ポイントになると思われます。

仮に上向きに変化して水準を切り上げて0ラインに接近したり、0ラインを上回ったりするようなら、5日移動平均線上を回復して維持することが視野に入ります。その反面、2本線が上昇しても限定的だったり、下向きに変化して低下が続いたりするようなら、5日移動平均線を下回ったままの状態が続き、終値で36,000円を割り込むことが考えられるため、損失の発生や拡大に注意が必要です。

下げ止まりの兆しが表れた日経平均株価ですが、まだまだ目が離せない状況が続くのではないかと思われ、今後の展開に要注目です。