東京市場まとめ
1.概況
前週末の米国市場で主要3指数が揃って反発した流れを受けて日経平均は85円高の36,972円で寄り付きました。トランプ米大統領が景気後退の可能性を明確に否定しなかったと伝わったことで朝方は下げに転じる場面も見られ、9時29分に182円安の36,705円をつけ本日の安値を更新しました。
その後は持ち直し、前場の後半は堅調に推移しました。前引け前の11時25分に226円高の37,113円をつけ本日の高値を更新し、前場は208円高の37,095円で取引を終えました。後場は国内の長期金利が一時1.58%まで上昇したことが株式の重石となり、上げ幅を縮小する展開となりました。
一時、節目の37,000円を割り込むも大引けにかけて再び上げ幅を拡大し、最終的には141円高の37,028円で取引を終えました。新興市場では、東証グロース250指数が反発、1.3%高となりました。
2.個別銘柄等
INPEX(1605)は1.2%高の1,954円をつけ、続伸となりました。日本経済新聞が、「INPEXは2035年までのむこう10年で石油・天然ガスの生産量を3割増の日量80万バレル(原油換算)超に増やす」と報じ、将来的な収益拡大を見込んだ買いが優勢となりました。
良品計画(7453)は8.3%安の3,507円をつけ、続落となりました。2月の中国のCPI(消費者物価指数)が前年同月比0.7%下落となり、2024年1月以来のマイナス転換となるなか、中国での売上の多い同社に対し、同国の景気低迷に伴う業績の下押しを懸念した売りが出ました。
ニデック(6594)の買収提案をうける牧野フライス製作所(6135)は一時13.7%高の12,820円をつけ、上場来高値を更新しました。日本経済新聞が「投資ファンドなど複数社が買収を提案していることがわかった」と報じたことで、今後の買収合戦を見込んだ短期筋の投資家による買いが株価を押し上げました。今回のファンドによる提案は、ニデックに対抗するホワイトナイトとなる可能性があると伝わっています。
環境分析・計測機器メーカーの堀場製作所(6856)は1.7%高の10,015円をつけ、4日続伸となりました。国内証券が目標株価を従来の13,000円から14,000円に引き上げたことが、買い材料となりました。アナリストからは「株価のバリュエーションのディスカウントが縮小に向かう可能性がある」といった評価がされています。
任天堂(7974)は3.2%安の10,005円をつけ、続落となりました。ゲーム関連株は米国の関税政策の影響を受けにくいとされ、買いが優勢であったものの、一部で中国で生産し輸出するゲーム機本体の対中追加関税による米国販売の先行きを懸念する声もあり利益確定を急ぐ売りが入りました。カプコン(9697)も2.4%安の3,436円をつけ続落で取引を終えました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は自律反発の買いが指数を押し上げましたが、ここまで好調であったゲーム株には前週末から調整が入っており、相場全体としてはリスクをとりづらい状況にあることがうかがえます。
今週は米国の物価指標が12日(CPI)、13日(PPI)に発表されることから、そこまでは動きづらい展開が予想されます。もっともFRB(米連邦準備制度理事会)は利下げを急がない姿勢を示しており、金融政策の観点ではサプライズは少ないものと予想されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)