(本日はマネックス証券 インベストメント・ストラテジーズ 塚本 憲弘が執筆しております)
今週のマーケットは、関税等外交問題の影響を受ける展開が続きそうだ。12日には米国で鉄鋼・アルミニウム関税が発効する予定であり、また同日から14日まで主要7ヵ国(G7)外相会合が開催される。関税の影響が意識される中、市場の変動性が高まるようであれば、トランプ政権の強硬なスタンスの変化も想定される。また、14日に米つなぎ予算の執行期限を迎えるなか11日に採決予定だが、波乱には注意しておきたい。
米国の経済指標では12日に2月のCPI(消費者物価指数)、13日にはPPI(生産者物価指数)、14日には3月のミシガン大学消費者マインドの発表がある。物価の実態や今後のインフレ期待が示されるが、市場が織り込む年内3回の利下げ見通しを左右する材料となろう。
欧州では11日にEU財務省理事会が開かれ、財政ルール緩和に向けた議論が行われる。先週に続き、欧州発の金利上昇圧力が日本市場にも波及するシナリオは考慮しておきたい。
国内では10日に1月の毎月勤労統計が発表される。冬のボーナスが寄与し実質賃金は2ヶ月連続でプラス圏にあるが、その効果剥落とともに再びマイナス入りが見込まれる。14日には連合が25年春闘の第1回回答集計結果を公表する予定でもあり、金融政策の方向性を占ううえで重要な指標となる。
需給面では、週末に先物オプション特別清算算出(メジャーSQ)を迎える。トランプ政権の関税政策などによって、先物主導で大きく値動きする展開も考えられるので、注意しておきたい。
週末の米国株反発を受け、週初は買戻しが先行するだろう。米S&P500指数は200日移動平均で下支えされる形となり、日本株市場も広範な指標であるTOPIXはレンジの下限に留まり正念場を迎えている。トランプ政策の不透明感や国内金利の上昇、円高圧力が続くなか、日経平均の寄与度が高い外需関連株は不安定な値動きを強いられよう。引き続き相場の変動性が高い展開を想定しておきたい。
予想レンジは3万6500円~3万8000円とする。