「ビットコイン準備金」開始なるか、米大統領令への期待と落胆
・数ある暗号資産の中で一番注目されているのがBTC(ビットコイン)である。2025年初来のチャートを見ると、1月20日の米大統領就任式にかけて値上がりし、20日前後に史上最高値を更新。これは、トランプ氏が就任式当日に暗号資産関連の大統領令を発するのではないかという期待によるものだったが、実際に発表された内容は市場が期待したほどではなく、2月にかけて下げている。関税強化などの動きもある中、金融市場の影響も及んでいる。
・米大統領令の暗号資産関連の中で特に注目されているのが、「銀行サービスへの公正かつ開かれたアクセスを保護し、促進すること」という部分である。これまでの民主党政権下では、暗号資産関連企業は銀行口座すら開けないような規制がされていた。今回、共和党政権に変わり、暗号資産関連企業にも公正に銀行サービスを提供することを打ち出している。暗号資産関連企業の事業環境が改善されることによって、今後、米国を中心に暗号資産市場が盛り上がっていくのではないか。
・さらに米大統領令では、暗号資産の規制を明確にし、デジタル資産市場のワーキンググループを設立することを打ち出している。ワーキンググループでは、暗号資産規制の枠組みを考えた上で、180日以内に報告書を作成し、発表するという方針が示されている。2025年前半は、これらの規制の方針がどうなるかが、市場から見ても大きなポイントになるだろう。内容は段階的に明らかになると思われるので、SEC(米国証券取引委員会)やCFTC(米商品先物取引委員会)の動向にも注目である。
・ビットコイン準備金については、「国家デジタル資産備蓄の潜在的な創設と維持を評価」というあくまで可能性を評価する記載にとどまった。ビットコイン準備金の開始を明言するところまで盛り込まれていれば、さらにビットコインは上昇しただろうが、そこまで踏み込んだ内容ではなかったことが、直近やや価格が下がっていることの表れだろう。
定義が明確になることで市場が活性化する
・暗号資産は証券かコモディティ(商品)か、定義をめぐって不透明な状況が続いていた。米国の共和党政権において、SECが管轄するものは「制限付きデジタル資産」と定義し、一部ビットコインやETH(イーサリアム)など、要件を満たしたものについては「コモディティ」として定義し、CFTCが管理していくなど、暗号資産の分類基準の定義がこの半年で進んでいくだろう。暗号資産は世界中で数万種類あり、ビットコインについては、金に準じた「デジタルゴールド」として金融市場に定着しているが、その他の暗号資産はまだ定義が存在しない状態である。米国の規制の中でどう定義付けされていくか、今後の暗号資産市場においては重要なポイントになるだろう。
・現状、米国で現物ETFとして認められているのは、時価総額1位のビットコインと2位のイーサリアムの2銘柄のみである。暗号資産の規制が明確になれば、それ以外の暗号資産(=アルトコイン)の現物ETFも増えることが予想されている。すでに各運用会社では、そうしたアルトコイン現物ETFの申請に向けて動き始めている。
日本でも暗号資産規制の見直しが進む
・米国だけではなく、日本でも暗号資産規制の見直しが進められるようになった。これまで日本では、金融庁により暗号資産は決済手段として資金決済法で規制されていた。それを海外のトレンドと合わせて、金融商品として定義づけることを検討しているという報道があった。暗号資産の取り扱い業者としては、追加で規制対応をする負担は増えるが、金融商品になることによって、米国で上場しているビットコイン現物ETFのようなものが日本で流通するなどのポジティブな側面も大きい。
・また日本において、暗号資産でもっとも問題とされているのが税制である。現物は総合課税であるのに対し、ETFは分離課税と税制の統一がされていない。これについては分離課税で統一すべきという議論がされている。税負担が下がることで投資家の意欲も高まる。これらの改革案を金融庁が2025年6月を目途に策定予定。今後の動向に注目したい。