東京市場まとめ
1.概況
米政権が貿易相手国・地域に同水準まで関税を引き上げる「相互関税」の詳細を発表し、日本には24%の追加関税を課すことが明らかになり、日経平均は684円安の35,041円と大幅反落で寄付きました。経済や企業業績への悪影響を懸念した売りが膨らんだことから早々に下落幅を拡大し9時2分に1,623円安の34,102円をつけ本日の安値を更新しました。その後は持ち直すも節目の35,000円を割り込む34,000円台で推移し、前場は1,052円安の34,673円で前引けとなりました。
後場も買い材料は乏しく、34,400円前後から34,700円台のレンジで一進一退に推移しました。一部には自社株買いの発表等から買いが入る銘柄もあり、日経平均は下げ幅を縮め989円安の34,735円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が1.3%安となり、6日続落となりました。
2.個別銘柄等
ファーストリテイリング(9983)が1.7%安の45,300円をつけ3日ぶりに反落となりました。米政権による相互関税の発表を受けて日経平均が大幅下落となるなか、寄与度の大きい同社株には相場全体の下落に連動した売りが出て一時2025年3月31日以来となる年初来安値を更新しました。一方で、2日に発表した「ユニクロ」の3月の国内既存店売上高は前年同月比11.5%増と5ヶ月連続で前年同月を上回り、堅調な売上動向を示したことでその後は下げ幅を縮めました。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は7.2%安の1,823円をつけ5日続落となりました。相互関税による実体経済の悪化や、日銀の追加利上げが後ずれするとの見方から銀行株に売りが出ました。三井住友フィナンシャルグループ(8316)は7.7%安、みずほフィナンシャルグループ(8411)は8.0%安で取引を終えています。
西松屋チェーン(7545)は3.4%高の2,119円をつけ3日続伸となりました。今期(2026年2月期)の当期純利益は前期比13.6%増の93億円を見込むとし、併せて発行済み株式総数(自己株式を除く)の0.3%にあたる18.2万株、金額にして3億円を上限とする自社株買いを発表し、これを好感する買いが入りました。
三菱商事(8058)は1.7%高の2,660円をつけ反発となりました。取引時間中に、発行済み株式総数(自己株式を除く)の約17%にあたる6億8,9000万株、金額にして1兆円を上限とする大規模な自社株買いの実施を発表し、需給の引き締まりを意識した買いが入りました。
武田薬品工業(4502)は1.8%高の4,540円をつけ反発となりました。証券会社による投資判断が最上位の「オーバーウェイト」に引き上げられ、また目標株価は従来の4,300円から5,500円に引き上げられたことで、これを材料視した買いが入りました。
アシックス(7936)は9.9%安の2,924円をつけ大幅反落となりました。米政権による相互関税は同社が生産拠点とするベトナムといった東南アジア諸国も対象となることが発表され、関税によって原価率の上昇といった懸念が売りを呼びました。
VIEW POINT: 明日への視点
米国の相互関税の詳細発表で日本市場全体でリスクオフとなりました。日経平均は、今週ですでに2,384円(6.4%)安となっており、追加関税の影響は株価には一定程度織り込まれたと考えられますが、自動車等、関税が利益を圧迫させるセクターは下値を探る可能性があるでしょう。明日の材料には、今夜発表の2月の米貿易収支や3月の米ISM非製造業景気指数があげられます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)