ネットフリックス[NFLX]、タイソン戦などスポーツのライブ配信も話題に
ネットフリックス[NFLX]が発表した2024年10-12月期決算は売上高が前年同期比16.0%増の102億4700万ドル、純利益が2.0倍の18億6900万ドルとなりました。EPS(1株当たり利益)は4.27ドルで、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)がまとめた市場予想の4.20ドルを1.7%上回っています。
2024年10-12月期は話題を呼ぶコンテンツが多く、特にスポーツのライブ配信が注目を集めました。11月にはボクシングの元ヘビー級王者マイク・タイソンとユーチューバーの異色の対戦がライブ配信され、12月25日のクリスマスにはアメリカンフットボールの人気カードが生中継されました。人気歌手のビヨンセのハーフタイムショーも話題になっています。
さらに12月下旬には韓国発のオリジナルドラマシリーズ「イカゲーム」のシーズン2の配信が始まりました。オリジナル映画の「セキュリティ・チェック」も高い評価を得ています。豊富な独占配信のコンテンツを背景に有料会員数が増え、2024年12月末には3億163万人と初めて3億人を突破しました。9月末比の純増数は1891万人、2024年通年の純増数は4135万人に上ります。
2024年12月通期決算は売上高が前年比15.6%増の390億100万ドル、純利益が61.1%増の87億1200万ドルでした。売上高が着実に伸びる中、コストを抑制した効果で、営業利益が49.8%増の104億1800万ドルと初めて100億ドルの大台に乗っています。
ネットフリックスは2025年12月期のガイダンスで、売上高が前年比12-14%増の435億-445億ドルに上ると予想しています。営業利益率の目標は29%で、2024年12月期の27%を上回ることを目指します。
2025年には「ウェンズデー」のシーズン2や「ストレンジャー・シングス」のシーズン5など人気ドラマシリーズの新シーズンを配信する予定です。また、2024年の成功を受け、スポーツのライブ配信にも力を入れる方針です。
シーゲイト・テクノロジー・ホールディングス[STX]、大容量のHDDを提供
シーゲイト・テクノロジー・ホールディングス[STX]が発表した2024年10-12月期決算は純利益が3億3600万ドルとなり、1900万ドルの純損失を計上した前年同期から黒字に転換しました。売上高が前年同期比49.5%増の23億2500万ドルに急拡大する中、営業費用を28.4%増に抑えたことで、利幅が広がりました。調整後EPS(1株利益)は2.03ドルで、LSEGがまとめた市場予想の1.88ドルを8.3%上回っています。
事業構造の改善に加え、増加する需要の取り込みに重点を置いた結果、採算が改善しました。粗利益率は34.9%と前年同期の23.3%から大幅に上昇し、過去10年間の最高を更新しています。
特に人工知能(AI)ビジネスの隆盛を受け、大容量でコストパフォーマンスの高いストレージソリューションの需要が拡大しました。シーゲイトはこうした需要に対応し、大規模なクラウド事業を手掛ける顧客に対し、熱補助型磁気記録(HAMR)技術を利用したハードディスクドライブ(HDD)の提供を増やしています。
シーゲイトの経営陣は2025年6月通期に利益が伸びると予想しています。2025年1-3月期のガイダンスは、売上高が19億5000万-22億5000万ドル、調整後EPSが1.50-1.90ドルです。
スリーエム[MMM]、主力3部門がそろって増益
スリーエム[MMM]が発表した2024年10-12月期決算は売上高が前年同期比0.1%増の60億1000万ドル、純利益が23.0%減の7億2800万ドルでした。調整後EPS(1株当たり利益)は1.68ドルで、LSEGがまとめた市場予想の1.66ドルを1.1%上回っています。
継続事業の純利益は前年同期比で14.8%増えましたが、前年同期には非継続事業の純利益3億1100万ドルがあり(当期はゼロ)、合算すると減益となりました。スリーエムは2024年4月にヘルスケア部門をスピンオフしており、同部門はソルベンタム[SOLV]としてニューヨーク証券取引所に上場しています。
セグメント別では安全・産業部門が堅調で、売上高が1.6%増の27億300万ドル、営業利益が9.4%増の5億7200万ドルでした。運輸・電子機器部門は売上高が4.5%減の19億9400万ドル、営業利益が6.4%増の2億3300万ドル、消費財部門は売上高が0.2%増の12億2900万ドル、営業利益が5.9%増の2億3400万ドルで、1桁台ながらそろって増益を確保しています。
2024年12月期決算は売上高が前年比0.1%減の245億7500万ドル、純利益が41億7300万ドル(前年は69億9500万ドルの純損失)でした。売上高は横ばいでしたが、研究開発費の圧縮が奏功し、黒字に転換しています。調整後EPSは7.30ドル(前年は6.04ドル)です。
スリーエムが発表したガイダンスでは、2025年12月通期の調整後売上高が前年比で0.5-1.5%増えるとの見通しを示しています。調整後EPSは7.60-7.90ドルに上るとの予想です。
ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス[UAL]、旅客数が過去最高
ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス[UAL]が発表した2024年10-12月期決算は売上高が前年同期比7.8%増の146億9500万ドル、純利益が64.2%増の9億8500万ドルでした。調整後EPS(1株当たり利益)は3.26ドルで、LSEGがまとめた市場予想の3.00ドルを8.7%上回っています。
旅客数は6.1%増の4434万人となり、四半期ベースの過去最高を更新しました。旅客ロードファクター(有償座席利用率)は82.3%と横ばいでした。
2024年12月期決算は売上高が前年比6.2%増の570億6300万ドル、純利益が20.3%増の31億4900万ドル、調整後EPSが10.61ドルでした。会社側のガイダンスでは、2025年12月通期の調整後EPSを11.50-13.50ドルと予想しています。
ユナイテッド・エアラインズは2024年9月、イーロン・マスク氏率いるスペースXと提携し、衛星ブロードバンドサービス「スターリンク」を自社の航空機に採用することで合意しました。乗客は機内で無料のWiFiを利用することができるようになります。早ければ2025年4月に一部でサービスを始める予定です。
モルガン・スタンレー[MS]、法人向け証券業務の利益が6倍に急増
モルガン・スタンレー[MS]が発表した2024年10-12月期決算は売上高に相当する純営業収益が前年同期比25.8%増の162億2300万ドル、純利益が2.4倍の37億1400万ドルとなりました。EPS(1株当たり利益)は2.22ドルで、LSEGがまとめた市場予想の1.70ドルを30.9%上回っています。
特に法人・機関投資家向け証券業務が好調でした。この業務の純営業収益は47.1%増の72億6700万ドル、税引き前利益は6.0倍の24億4100万ドルに達し、全体を押し上げています。中でもヘッジファンドやアジア向けビジネスの伸びを背景に株式業務が51.0%増収と好調。債券業務は融資や証券化の活発化を受けたクレジット商品の好業績などを受け、34.7%の増収となりました。さらに企業合併・買収(M&A)の助言業務や株式・債券の引き受けといった投資銀行業務も24.5%増収と順調に伸びています。
ウエルス・マネジメント業務は純営業収益が12.5%増の74億6700万ドル、税引き前利益が43.8%増の24億4100万ドルと2桁の増収増益でした。トレーディング収益や手数料収入を含むトランザクション収益は10.6%減と縮小し、純金利収入がほぼ横ばいにとどまりましたが、資産運用手数料収入が24.2%増の44億1700万ドルと牽引しました。
資産運用業務は純営業収益が12.2%増の16億4300万ドル、税引き前利益が56.2%増の4億1400万ドルです。運用資産残高の増加を受け、資産運用や関連の手数料収入が10.8%増と着実に伸びています。
米国では2024年11月の大統領選前後にM&Aやベンチャー企業投資が活発化し、特に投資銀行業務の比重が高い金融機関に恩恵がおよびました。2024年10-12月期決算では、銀行最大手のジェイピー・モルガン・チェース[JPM]のEPSが市場予想に比べて4.0%上振れたのに対し、投資銀行業務を主軸とするゴールドマン・サックス[GS]のEPSは市場予想を44.1%上回り、大きく上振れています。