・FOMCでは3、6、9、12月に経済予測が発表される。9月時点でのGDP・失業率の見通しと11月を比べると、経済の状況は想定より堅調と言える。物価の見通しも堅調。2025年は鈍化、横ばいで推移すると見込まれている。

・政策金利については、9月時点で2025年に3.4%という見通しになっている。2024年の4.4%から年4回、3ヶ月に1回のペースで0.25%ずつ利下げするということになるが、100bpほど予想値は上がっているため、上方修正される可能性もある。この3.4が4に上方修正されたとしても、その予想はすでに織り込まれていることがチャートによって示唆されている。また、ここ最近上下に振られていた10年金利に上昇圧力がかかってくることは想定できる。

・政策金利は3ヶ月のタームで上がったり下がったりを繰り返してきたが、何か構造的な変化が起きてトレンドが移ったわけではない。では政策金利予想は何に影響されて上下に振れたのか。一つ見受けられるのが、経済指標サプライズ指数である。この指数が少し先に動いている。必ずしも因果関係ということではないかもしれないが、今回、すでに経済指標サプライズ指数はピークアウトしつつある。それにともない、政策金利予想も年明け以降、ピークアウトしてもおかしくはない。

・政策金利はどれぐらいがフェアなのか。中立金利という考え方があり、これは自然利子率+インフレ率によって求められる。アメリカの自然利子率は0.7~2、インフレ率が大体2%なので、足して2.7~4となり、現在の4.75という数値は引き締め水準と見なせる。12月に利下げして4.5になり、あと2回の利下げで4%になるというのは、無理のないパスと思える。

・見通しとしては、政策金利は4%を緩やかに目指すだろう。10年金利は、3.5~4.5で4.5を上振れる可能性が意識されるが、1年を通じて緩やかに低下する基調になるだろう。

・長期金利を改めて実質金利とインフレ期待に分けると、実質金利は現在潜在成長率にぴったりとついて、2%になっている。経済が堅調なので、このまま2%で推移する期待が持てる。実質金利にインフレ期待を足せば10年金利になるという意味で、10年金利のカギを握るのは、インフレ期待になるのだろう。

・経済が堅調であれば、今後利上げというリスクも出てくるが、米一強という状況がどこまで続くのかによる。ヨーロッパをはじめ世界情勢を見る限り、米国が突出している状況が続くかどうかは疑わしい。

・一方、注意したいのは財政面である。債務によって金利が上げられる可能性がある。前回トランプ政権時では、減税時にインフレ率が上がり、報復関税によって米中摩擦が起こった時には下がった。政策の出方については気をつけたいが、大前提として、インフレ期待は景気に見合った動きをするので、鈍化基調の経済とともに、中立的な金利水準に近づいていくようなパスを想定するのがいいだろう。