【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 43,914.12  ▼234.44 (12/12)
NASDAQ: 19,902.84  ▼132.05 (12/12)

1.概況

米国市場では主要3指数がそろって下落となりました。寄付き前に発表された米生産者物価指数(PPI)は、市場予想を上回る物価の伸びを示しました。インフレ再燃懸念が広がるものの、PPIの中で米金融当局が重視する個人消費支出(PCE)価格指数の算出に用いられる項目は、総じて伸びが抑制されていたことなどから、12月の利下げ観測は維持されています。

ダウ平均は20ドル高で取引を開始し、一時は60ドル高まで上昇しました。しかし、直近で上昇が目立っていたハイテク株の一角に利益確定売りが出たほか、弱気な決算ガイダンスを発表した銘柄が急落したことが相場全体の重しとなりました。その後は終日軟調な展開が続き、終盤にかけては下げ幅を拡大しました。最終的にダウ平均は234ドル安の43,914ドルで取引を終え、6日続落となりました。

また、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は132ポイント安の19,902ポイントで反落しました。S&P500指数も32ポイント安の6,051ポイントでこちらも反落しています。

2.経済指標等

11月の米生産者物価指数(PPI)は前月比0.4%上昇となり、市場予想を上回って前月から伸びが加速しました。一方で、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPPIは、前月比0.2%上昇と市場予想通りとなりました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち生活必需品の1業種が1%未満の小幅高となりました。一方で、生活必需品以外の10業種は、1%未満の小幅な下落となりました。

4.個別銘柄動向

米国市場では、ダウ平均構成銘柄は30銘柄中14銘柄が上昇となり、なかでも、コカコーラ[KO]が2%近く上昇したほか、メルク[MRK]とボーイング[BA]も1%超上昇しました。一方で、16銘柄が下落となり、なかでもユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が3%超下落したほか、キャタピラー[CAT]が2%超下落、ホームデポ[HD]やシャーウィンウィリアムズ[SHW]、エヌビディア[NVDA]、ナイキ[NKE]が1%超下落しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、メディア大手のワーナーブラザース・ディスカバリー・インク[WBD]が、ケーブル事業とストリーミング事業を別の部門に分割する事業再編を発表したことが材料視され、15.4%上昇しました。また、ウェスト・ファーマシューティカル・サービシズ[WST]はアナリストによる投資判断と目標株価の引き上げを受けて、4.2%上昇しました。一方で、アドビ[ADBE]は四半期決算にて、予想を上回る売上高、EPS(1株当たり利益)となるも、ガイダンスが市場予想を下回ったことが嫌気され、13.7%下落しました。また、機械設備のノードソン[NDSN]も予想を下回るガイダンスが嫌気され、8.2%下落しました。

5.為替・金利等

長期金利は0.06%高い4.33%となりました。ドル円は、152円台半ばで推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は、米国株安を受けて、下落してのスタートが予想されます。こうした中で、寄り付き前に発表される日銀短観の結果が注目されており、これが12月の利上げ実施にどのような影響を与えるかが焦点となります。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)