モトリーフール米国本社 – 2024年12月8日 投稿記事より
自社が示した売上高ガイダンスを大幅に上回る四半期決算を発表
調査会社サイバーセキュリティ・ベンチャーズによると、サイバー犯罪は2025年に世界経済に10兆5,000億ドル相当の損害を与えると予測されています。かつてないほど多くの企業がオンラインで事業を展開しており、世界中のどこからでも、常に攻撃される可能性のある、脆弱な状態です。
ジースケイラー[ZS]は、ゼロトラスト・サイバーセキュリティのリーダーです。同社によると、スパイウェアによる攻撃は過去1年間だけで111%も増加しました。スパイウェアは、コンピューターに感染し、重要な従業員の認証情報や財務情報といった機密データを盗む危険なソフトウェアであり、ジースケイラーはその被害の防止を助けてくれます。
ジースケイラーの株価は、2021年のハイテクブームの最中に付けた過去最高値から44%安の水準です。同社に注目する理由は以下の通りです。
ゼロトラスト・サイバーセキュリティのリーダー
クラウドコンピューティングなどの技術のおかげで、企業はグローバルな顧客基盤を持ち、世界中から優秀な人材を獲得できるようになりました。これらは素晴らしいことですが、リスクも伴います。管理者は今や、まったく別の国にいる可能性がある従業員が、企業のネットワークや機密データにアクセスしている所を、物理的に確認することができないため、彼らを監視しなければなりません。
リモートワークで働いている従業員が本当にログインしようとしているのか、それとも彼らの認証情報が盗まれたのかを知る術はありません。従来のサイバーセキュリティソフトウェアではこうした脅威から保護することができませんが、ジースケイラーのZero-Trust Exchangeプラットフォームが力を発揮します。これは、すべてのログイン試行を敵対的とみなし、試行者のユーザーネームやパスワードだけでなく、彼らの位置情報や使用しているデバイスまで分析して、それが本当に本人であるかどうかを確認することから始めます。
さらに、ジースケイラーは従業員を、業務に必要なデジタルアプリケーションにのみ接続します。そのため、悪意のある行為者がIDレイヤーに侵入したとしても、組織全体のネットワークにアクセスしたり、機密データに不正アクセスしたりすることはできません。
ジースケイラーのプラットフォームでは、人工知能(AI)が重要な役割を担っています。本人確認などのタスクをわずか数秒で完了できるからです。一方で、同社は製品ポートフォリオを拡大し、AIを使用する企業の保護にも取り組んでいます。機密情報へのアクセスを制限してデータ漏洩を防ぐ新しいツールを提供するジースケイラーを利用することで、企業はAIを活用したコパイロット、チャットボット、バーチャルアシスタントなどを安全に、安心して導入することができます。
全体として、ジースケイラーは1日に90億件を超えるセキュリティ侵害を阻止しています。これは驚くべき数字であり、企業がいかに頻繁に危険にさらされているかを浮き彫りにしています。
力強い売上成長と収益性の改善
ジースケイラーの2025年度第1四半期(8~10月期)売上高は、過去最高の6億2,800万ドルを記録しました。前年同期比で26%増であり、経営陣が予想していた6億500万ドルを大幅に上回りました。
この力強い決算内容を受けて、経営陣は2025年度の通期売上高ガイダンスを上方修正しました。ガイダンスレンジの中央値で、3ヶ月前時点の26億1,000万ドルに対し、現在は26億3,000万ドルが予想されています。
同社はまた、売上高の力強い伸びに加えて、慎重なコスト管理によって利益面でも改善が見られます。GAAPベースでは依然として1,200万ドルの赤字ですが、純損失は前年同期の3,350万ドルから64%減少しています。
株式報酬のような1回限りの非現金支出を除いた非GAAP(調整後)ベースでは、1億2,460万ドルの利益を生み出しています。これは、前年同期比で43%増加しています。
ジースケイラーは、成長と収益性のバランスを取ることで、長期的に持続可能なビジネスを構築しようとしています。これは数年前に採用した成長重視戦略からの大転換であり、同社の株価が2021年の過去最高値から下落している理由の1つでもあります。しかし、同社には依然として、株主に安定したリターンをもたらす可能性を秘めています。
ウォール街はジースケイラー株に強気
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、ジースケイラー株をカバーしている45人のアナリストのうち、26人が最高評価の「買い」の判断を付けています。4人はオーバーウェイト(強気)、残りの15人はホールドを推奨しており、「売り」を推奨するアナリストは1人もいません。
アナリストのコンセンサス目標株価は224.47ドルであり、今後12~18ヶ月で足元の水準から9%の上昇を意味します。最も高い目標株価は270ドルで、31%の上昇余地となっています。
長期的には、2つの理由からジースケイラーはさらに高いパフォーマンスを見せる可能性があります。第1に、足元の株価売上高倍率(PSR)は13.6倍であり、同社が2018年に上場して以降の平均値26.9倍を大幅に下回ります。
PSRが過去平均の水準になるには、株価は今より2倍近くに上昇する必要があります。ただし、PSR26.9倍というのは、オールインワンのFalconプラットフォームで世界的に高い人気があるサイバーセキュリティ企業のクラウドストライク・ホールディングス[CRWD]よりも割高になるため、現実的とは言えません。それでも、ジースケイラーのバリュエーションには上昇余地があることは明らかです。
ジースケイラーの株価がウォール街の目標株価を上回る可能性がある2つ目の理由は、市場規模にあります。会社側はゼロトラスト、データ保護、AIソリューションの各分野を合計した最大市場規模を960億ドルと見積もっています。現在の売上高を見ると、市場機会のほんの一部をかじったにすぎません。
サイバー犯罪は、2025年に記録的な被害額をもたらす勢いで増加しており、サイバーセキュリティへの支出は増加傾向が続くとみられます。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Anthony Di Pizioは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はクラウドストライク・ホールディングス、ジースケイラーの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。