モトリーフール米国本社 – 2024年12月1日 投稿記事より

短期的に勢いのあるパランティア・テクノロジーズ[PLTR]に対して、長期的に魅力のある2銘柄

パランティア・テクノロジーズ[PLTR]の株価はこの1年間に急騰しました。過去1年間の上昇率は237%であり、2020年の上場以来600%という飛躍的な上昇を遂げました。ウォール街のトレーダーは現在、この勢いが今後も続くかどうかを見極めようとしています。

なぜなら、パランティア・テクノロジーズの利益は伸びていますが、株価ほどではありません。賢明な逆張り投資家であれば、収益力をはるかに上回って上昇する株式への投資がリスクを伴うことを知っています。現在、パランティア・テクノロジーズの時価総額は1,510億ドルであり、世界の時価総額ランキングで100位前後という状況です(足元では104位)。

以下では、5年後にパランティア・テクノロジーズよりも価値が高くなっていると思われる2つの銘柄を紹介します。

エアビーアンドビー[ABNB]:資本効率が高い利益成長ビジネス

時価総額でパランティア・テクノロジーズを上回りそうな銘柄を探すなら、優良企業で、現時点で時価総額がパランティア・テクノロジーズを下回っている銘柄に注目する必要があります。この条件に当てはまるのが、民泊サイトを運営するエアビーアンドビーです。宿泊マーケットプレイスは資本効率が高く、同社のプラットフォームを通じて宿泊が提供されるたびに、その一部が売り上げとして入ってきます。

同社のサイトを通じた2024年第3四半期の予約総額(GBV)は、前年同期比10%増の201億ドルでした。売上高は同10%増の37億ドル、純利益も14億ドルに増加し、純利益率は驚異の37%です。

時価総額は860億ドルですが、エアビーアンドビーには今後5年間で大きな成長余地があります。同社は宿泊に特化して、旅行市場でシェアを獲得し続けています。長期的には、ツアー、レンタカー、航空券など、その気になれば旅行業界の他の分野に事業を拡大することもできるはずです。旅行業界全体の市場規模は、今後5年間で年率4%の成長が見込まれています。エアビーアンドビーが市場シェアを伸ばし続けることができれば、今後5年間で毎年10%の売上成長というのは妥当な予想です。

純利益率37%、成長率10%で計算すると、5年後の年間売上高は175億ドル、純利益は65億ドルになります。

ロッキード・マーチン[LMT]:安定したキャッシュフロー

次に紹介するのは、パランティア・テクノロジーズと一部事業が競合するロッキード・マーチンです。防衛・航空宇宙分野で実績のあるロッキード・マーチンの時価総額は1,250億ドルです。

同社は、米軍とその同盟国のためにさまざまな製品システムを開発してきた長い歴史があります。現在はF-35戦闘機、兵器システム、ミサイルの開発に加え、宇宙探査などにも参画しています。政府との長期契約により、ロッキード・マーチンの売上は安定しており、莫大な研究予算をさらなる技術革新に投資することもできます。

経営陣は2024年について、売上高700億ドル超、フリーキャッシュフロー62億ドルを見込んでいます。同社はさらなる成長を促進し、防衛分野の技術リーダーとしての優位性を維持するために、2024年第3四半期だけで研究および設備投資に7億ドルを充てたことを明らかにしました。

売上高が爆発的に成長することはないと思われますが、その必要もありません。予想株価収益率(PER)は19.7倍、配当利回りは2.5%で、しかも毎年増配されています。過去12ヶ月間の純利益は66億7,000万ドルですが、今後緩やかに増加し、5年後には75億ドルを超えると予想されます。

三社の対照的な収益性

エアビーアンドビーの5年後の予想純利益は65億ドル、ロッキード・マーチンは約75億ドルとなる可能性があります。では、パランティア・テクノロジーズはどうでしょうか。両社よりも大幅に少ないと思われます。

過去12ヶ月間のパランティア・テクノロジーズの売上高は26億ドルでした。同社は足元でロッキード・マーチンやエアビーアンドビーより速いペースで成長しており、2024年第3四半期の増収率は30%でした。政府機関や民間企業へのソフトウェア販売見通しに基づくと、売上高にはまだ十分な成長余地があります。楽観的に考えて、パランティア・テクノロジーズの売上高が今後5年間に年率30%で成長すると仮定すると、5年後の売上高は96億5,000万ドルとなります。

現在、パランティア・テクノロジーズの純利益率は20%です。仮にこれが30%に上昇した場合、5年後の純利益は29億ドルとなります。ロッキード・マーチンやエアビーアンドビーと比べると、パランティア・テクノロジーズが足元の1,510億ドルの時価総額を維持するには、厳しい道のりだと思われます。もちろん、パランティア・テクノロジーズには大きな成長が見込まれますが、それは今現在の話であって、5年連続で30%の売上成長を記録した後の話ではありません。歴史上、数少ない優れたテクノロジー企業を除けば、いずれ大数の法則が働き始め、それほどの売上成長を長期にわたって続けることは難しくなります。

さらに、パランティア・テクノロジーズの予想純利益と足元の時価総額を見てみましょう。5年後も時価総額が同じとすると、PERは50倍となり、S&P500種指数の平均である30倍を大きく上回ります。エアビーアンドビーやロッキード・マーチンがパランティア・テクノロジーズの足元の時価総額を上回る可能性があるだけでなく、パランティア・テクノロジーズの株価が5年後に今よりも下がっていても意外ではありません。

1年間に200%も急騰している銘柄は魅力的に見えるかもしれませんがが、今投資するのはリスクがあるかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Brett Schaferは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はエアビーアンドビー、パランティア・テクノロジーズの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はロッキード・マーチンの株式を推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。