東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は3日ぶり反発となりました。寄付きは199円安の37,935円で取引を開始した日経平均は、38,000円を割り込む水準では買いが入り早々に38,000円台まで回復し、底堅さを示しました。その後は一進一退で、主だった買い材料がない中、取引時間中の米国の対中半導体規制の強化が想定以上に厳しい措置にはならないといった報道を受けて、半導体関連銘柄が上昇、一転してプラスに推移し160円高の38,295円で前引けとなりました。
後場も同様に半導体が牽引する中、利益確定の売りも見られ上値の重い展開となり最終的には214円高の38,349円で取引を終えています。
新興市場では、東証グロース250指数が3日ぶりに小幅反発、0.1%高となりました。
2.個別銘柄等
米国による対中半導体規制が従来よりも厳しいものとならない可能性が報じられたことで、半導体関連銘柄が指数を牽引しました。東京エレクトロン(8035)は6.7%高で取引を終え、1銘柄で日経平均株価を約147円押し上げました。SCREENホールディングス(7735)は6.3%高、ソシオネクスト(6526)は4.6%高となったほか、KOKUSAI ELECTRIC(6525)は一時ストップ高となる22.8%高となりました。一方でアドバンテスト(6857)は3.5%安、レーザーテック(6920)は一時4.5%安となり年初来安値を更新し、2銘柄は逆行安となりました。
T&Dホールディングス(8795)は一時14.2%高となる大幅反発となりました。27日に開催したIR説明会にて配当や自社株買いといった株主還元の強化に言及したことが好感され、買いが集まりました。
カシオ計算機(6952)は一時7.2%高をつけ大幅反発となりました。不正アクセスにより遅れていた第2四半期決算を発表し、通期の純利益を20億円下方修正する80億円を見込んでいることを発表しました。前期比33%減への下方修正となるも、市場は悪材料の出尽くしと捉え株価は反発となりました。
清水建設(1803)が一時4.0%高をつける大幅反発となりました。国内証券による同社の投資判断、目標株価の引き上げがきっかけで、中期的な建築粗利益率の改善を織り込む余地があると評価されています。
リコー(7752)は5.1%安となり5日ぶりに大幅反落となりました。同社の株価は先行きの増益期待や成長シナリオを既に織り込んでいるとして、国内証券による投資判断の引き下げが売り材料となりました。
株式の売り出しを発表したヒューリック(3003)は一時8.4%安をつけ大幅続落となりました。売り出し株数は最大で発行済み株式総数(自社株除く)の12.8%にあたるとされ、目先の需給悪化懸念が売り材料となりました。
その他の銘柄では、前日大幅下落となっていたサンリオ(8136)が5.2%高で反発、ドトール・日レスホールディングス(3087)は傘下のドトール・コーヒーにて来月12月12日からコーヒーを30円値上げするといった報道から採算改善が期待され株価は1.5%高となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
対中半導体規制の報道によって半導体関連銘柄の上昇が目立ちました。報道の規制の内容は早ければ来週にも発表される可能性があるとされていますが、実際の内容は不明瞭な部分もあり、巻き戻しには注意が必要です。
明日に向けて、本日28日の米国市場は休場のため日本市場でも薄商いの可能性がある中、複数発表される日本の経済指標に注目です。11月の東京都市部消費者物価指数や、10月の鉱工業生産といった日本のファンダメンタル指標の堅調さがうかがえれば年末に向けてポジティブな材料と考えられます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)