J-REIT価格はTOB後の反発とその後の下落の繰り返し

直近(2月13日~3月12日)のJ-REIT価格は、2月末までは上昇基調であったがその後は反落する動きとなった。東証REIT指数は2月12日の1,663ポイントから月末には1,700ポイントまで上昇したが、3月12日には1,654ポイントまで下落した。

上昇のきっかけは1月下旬と同様に、3Dインベストメント・パートナーズ(以下3DIP)による阪急阪神リート投資法人(8977)(以下HHR)への株式公開買い付け公表と考えられる。1月も3DIPのNTT都市開発リート投資法人(8956)(以下NUD)への株式公開買付けをきっかけにJ-REIT価格は上昇し、その後は下落する動きとなっていた。従って直近の値動きも同様な経緯をたどっている。

2024年のJ-REIT物件取得額、ホテルが初めて用途別で最大に

2024年のJ-REIT物件取得額は、前年比22%増の1兆3500億円程度となった。用途別取得額で見るとホテルが3500億円を超え、初めて用途別で最大となった(図表)。

【図表】J-REITの主用途取得額と前年比増減率
出所:各銘柄公表資料を基にアイビー総研(株)作成

ホテル取得額が最大となった要因は、他用途に投資する銘柄が価格低迷の中で増資を控えている一方で、ホテル系銘柄が増資を「強行」し、物件取得を積極的に行った影響が大きい。

ホテル系銘柄は4銘柄であるが、2024年は3銘柄が増資を行った。増資に伴う物件取得ではインヴィンシブル投資法人(8963)が1044億円、ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)が562億円と大幅にポートフォリオを拡大した。さらにホテル系以外の総合型銘柄のホテル取得も増加している。

2025年も特化型銘柄の中ではホテル系銘柄が増資可能性大か?

増減率では住宅が前年比104%増(図表)と倍増となった。ただし、積水ハウス・リート投資法人(3309)が米国でタワーマンション2棟を916億円で取得した影響が大きく、国内での取得は2250億円程度となり、この場合の増減率は45%増とホテルの増減率を下回る。

用途別比率ではJ-REIT最大のオフィス及び物流施設は、それぞれ23%減、9%増と市場全体の増減率を下回った。要因は共通しており、オフィス特化型及び物流特化柄で増資を行った銘柄がなかった。さらに、物件取得と売却を併せて行う物件入替えが中心であったため、取得額が低水準になっている。なお、商業施設の取得額増減率も高くなっているが、2023年の取得が低水準であったことも影響している。

以上のような傾向を考慮すると、特化型銘柄の中でホテル系銘柄は2025年も増資を行う可能性が高いと考えられる。J-REIT市場全体でも需給が弱い中での増資となるため、価格が下落する可能性がある点には注意が必要となりそうだ。