マネックス証券の投資教育部門であるマネックス・ユニバーシティでは、現役の中学生、高校生の皆さんから、お金にまつわる素朴な疑問・質問を募集。それに答えることで、お金のことをわかりやすく解説する『世界を知る大人になるための本気の「お金」授業』を連載しています。

マネックス証券が本当に伝えたいお金のこと、世界のこと…、親子で一緒に読んでほしい本音トークを繰り広げます。

第12回目は、小学3年生から投資を始め、2年間で元手160万円を250万円まで増やしたゆりかさん(現在小学5年生)と、マネックス証券チーフ・外国株コンサルタントの岡元兵八郎が特別対談。名古屋の個人投資家向けイベントで出会ったという2人が、ゆりかさんのお母様も交えて、お金や投資との向き合い方について話しました。

投資に興味を持ったのは、母と祖父母の会話がきっかけ

ゆりかさん:愛知県在住の小学5年生。2022年8歳の頃からジュニアNISAで投資を始める。趣味は漫画、スイミング、筋トレ。英語が得意で、英検2級を取得。
岡元兵八郎:マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ シニアフェロー。

岡元:今日はわざわざマネックス証券に来てくれてありがとうございます。最初にゆりかさんが投資を始めたきっかけを教えてください。

ゆりかさん:2022年、8歳のときに、貯めていたお金とお母さんからもらったお金を合わせて80万円から投資を始めました。投資に興味を持つようになったのは、おじいちゃんとおばあちゃん、お母さんがよく投資の話をしていたからです。そんなとき、お母さんから「ジュニアNISAを始めようと思うけど、どんなところに投資したい?」と聞かれ、限定された国や企業だけへの投資は心配だったので、全世界株式型の投資信託を選びました。

そのほかにも、オリックス(8591)、ベネッセ(2024年5月に上場廃止)、LIXIL(5938)、ヤマハ発動機(7272)、ヤマウラ(1780)の株式を購入しました。

岡元:個別株の企業はどのように選んだのですか?

 

ゆりかさん:家族が株主優待をもらって喜んでいるのを見ていたので、私も株主優待がある銘柄がいいなと思いました。ベネッセは、進研ゼミを受講していて親しみがあり、カタログギフトの優待もあったからです。LIXILは学校の出張授業で社員の方がお話してくれ、「環境に良いことをしている企業だな」と心を動かされたので選びました。

岡元:なるほど。自分の生活に身近な会社に投資したのですね。実際に投資してみて、感じたことはありますか? 

ゆりかさん:株価が上がると、将来使えるお金が増えて嬉しいと思いました。逆に下がると悲しいですが、企業で働いている人たちが頑張っているから、株価はまた上がるだろうと考えています。

「S&P500」連動ファンドにシフトして運用成績アップ

岡元:ゆりかさんと最初にお会いしたのは、2023年9月の名証投資セミナー会場でしたね。マネックス証券のブースで私が米国株長期投資のミニプレゼンをした時、小学生くらいのお子さんが真剣に話を聞いてくれていたのをよく覚えています。あの時、大人向けの株式投資のセミナーに来てくれた理由と、私の米国株の話を聞いた感想を教えてください。

 

ゆりかさん:ちょうど投資について興味を持ちだした頃だったので、もっと投資のことを知りたいと思い、お母さんと一緒に参加しました。たくさんの企業ブースがあって、小学生の私にも話しかけてくれたり、実験させてくれたりして楽しかったです。

岡元さんの米国株のお話はとてもわかりやすくて、「米国企業はこれからも成長が見込めるんだ」と感じました。特に、S&P500のパフォーマンスを示したスライドを見て「すごい!」と思い、その後、投資信託の積立を全世界株式型から「S&P500」連動ファンドに変えました。

岡元:投資先を変えて、どうでしたか?

ゆりかさん:よかったです。時々、お母さんに証券口座がどうなっているのか聞くのですが、想像以上に増えていて嬉しいです。3歳下の弟も私と同時に投資を始めたのですが、弟は最初から「S&P500」連動ファンドに投資していたので、運用成績は私より良くて(笑)。私は2年間で合計160万円(ジュニアNISA枠で1年80万円ずつ)を投資し、資産が約1.6倍の250万円になりましたが、弟は約1.7倍に増えています。最近になってようやく運用成績が弟に追い付いてきました。

任天堂(7974)やスターバックス[SBUX]、自分の「好き」を投資に

岡元:投資を始めたことで、世の中の見え方は変わりましたか?

ゆりかさん:食べているものや使っている製品のパッケージに書かれた会社名に興味を持ち、その会社がどのような事業をしているのかを調べるようになりました。企業の人たちが毎日頑張っているからこそ経済が回っているのだなとも感じています。お母さんに買ってもらった四季報も読んで、配当利回りや株主優待をチェックしています。

岡元:株なので、上がる時もありますが、下がる時もあります。過去2年間で米国株が大きく下がった局面もありました。一時的であってもお金が減ることは怖くないですか?

ゆりかさん:怖いというか少し悲しい気持ちになります。

岡元:今後、投資してみたい会社はありますか。

ゆりかさん:任天堂(7974)に投資したいです。友達もほとんど持っているNintendo Switchは私も欲しいですし、2025年発売予定のNintendo Switch 2も気になります。今後どれだけ成長するのか興味があります。

 

岡元:米国の個別株には興味がありますか?

ゆりかさん:グーグル(アルファベット)[GOOGL]やマイクロソフト[MSFT]のように身近で役に立つサービスを提供している企業に投資したいです。それから、スターバックス[SBUX]の抹茶フラペチーノが好きなので、スターバックスの株式にも興味があります。スマホはiPhoneを使っているので、いつかアップル[AAPL]の株式も買ってみたいですね。

岡元:ぜひアメリカの個別銘柄にも興味をもってください。日本にはない素晴らしい会社がたくさんありますよ。ところで、現在投資に関する情報はどんなところから得ていますか?

ゆりかさん:投資に関するYouTubeチャンネルで面白いコンテンツを見たり、お母さんから教えてもらったりします。四季報で配当利回りや株主優待の有無をチェックすることもあります。岡元さんが米国(ラスベガス)に行かれて、最先端の技術やサービスを紹介している動画も見ました。

岡元:ありがとうございます(笑)。今後、どのような投資をしていきたいですか?

ゆりかさん:大人になったら、自分で働いたお金で好きな企業にさらに投資したいです。銘柄数を増やして、配当金で好きなものを買ったり、旅行に行けたらいいなと思います。

岡元:ところで、学校のお友だちと投資について話すことはありますか?

ゆりかさん:全くないです。話題に出てくることがなくて…。いつか投資について話せる友だちができたら、おすすめの銘柄を共有してみたいです。

母からの教え、投資は「将来の夢を実現するための手段」

岡元:お母さんにお聞きしたいのですが、なぜお子さんに投資を経験させようと思ったのですか。

ゆりかさん母:私自身は、両親が投資をしていた影響で、社会人になってすぐに投資を始めました。新卒で初めて給料をもらったとき、父から「余ったお金はすべて投資しなさい」と言われたことを覚えています。

松本大さんのファンである父の影響でマネックス証券に口座を開設し、ソニーグループ(6758)やオリエンタルランド(4661)、三井物産(8031)、アツギ(3529)など、応援したい企業や成長が期待できる企業にミニ株投資からスタートしました。その後投資対象を広げ、現状では米国株式S&P500やNASDAQ100に連動する投資信託をはじめ、米国株の医療関連2銘柄と日本の個別株約100銘柄、米国債などを保有しています。

これからの時代は以前と比較するとさらに、個人で資産形成をする必要があると思い、親としてどれだけ子どもをサポートできるだろうと考えていました。その頃、ジュニアNISAが廃止になるというニュースを聞いて、廃止になる前に子どもたちに投資を経験させたいと思ったのです。そこで、非課税投資枠の年間80万円を娘と息子それぞれに充て、投資を始める機会としました。


岡元:なるほど、ご自身も投資を経験されてきたのですね。家庭では、お子さまに投資についてどのように教えていますか。

ゆりかさん母:インフレが加速し、日本の経済規模も縮小していく中で、預金だけでは資産が目減りしてしまうと感じています。そのため、子どもたちがこれからの時代を生き抜いていけるように、投資することも大事だと伝えています。ただし、投資の目的は「儲けること」ではなく、「将来の夢の実現のための手段」だと理解してもらうことが大事だと思っています。

また、投資を通じて、私たちの生活が多くの企業に支えられていることを伝えるようにしています。例えば、朝起きて歯を磨くときには「この歯磨き粉はライオン(4912)という会社が作っているんだよ」、トイレに行ったときは「この便器はTOTO(5332)という会社が作っているんだよ」と教えることで、身近な企業とのつながりを感じてほしいなと。

そのほか、岡元さんとお会いした名証投資セミナーのように、さまざまな企業が集まるイベントに子どもたちを連れて行き、直接話を聞く機会を与えることで、興味の幅を広げ、学びを深められるようにしています。

岡元:お金の使い方について、ゆりかさんに教えていることはありますか?

ゆりかさん母:ゆりかは普段あまりお金を使わず、本当に必要なものだけを買っています。お小遣い代わりに、学校のテストで満点を取れたら学年×100円を渡すことにしているのですが、それもほとんど使わずに貯めています。自然とお金を貯める癖がついているようです。唯一、まとまったお金を使ったのは、友だちが縄跳びの世界大会に出場するのを応援するために、クラウドファンディングで5千円を支援したときぐらいですね。

岡元:素晴らしいですね。今の日本では、ゆりかさんのように投資を経験している子どもが少ない現状について、どのように思いますか。

ゆりかさん母:私の周りでも、投資をしている人はあまりいません。でも、私は投資には将来性があると考えているので、投資に興味を持っている友人に証券口座の開設の手順などを説明することもあります。そうすると、後日「おかげでお金が増えたよ」と感謝してもらえて、私も嬉しい気持ちになります。

そもそも投資について正しい知識を持っている大人が少ないので、子どもに教える機会が十分にないのかもしれませんね。高校で金融教育の授業が行われるようになりましたが、私は小学生くらいの段階からゲームのような感覚で金融を学べる機会があるといいなと思います。

夢はたくさんあるけれど…副業で個人投資家になりたい

 

岡元:最近では、投資詐欺が社会問題になっていますが、どのように感じていますか。

ゆりかさん母:金融リテラシーの低さを悪用した犯罪だと思います。お金に困ると、人生や人間性まで変わり、トラブルに巻き込まれるリスクが高まります。そのため、子どもたちにはしっかりと金融リテラシーを身につけ、コツコツ資産を増やし、トラブルに巻き込まれない環境を作れるようになってほしいと思います。

例えば投資詐欺では、あり得ないほどの高利回りを謳って人を騙そうとしますよね。冷静に考えれば詐欺だとわかることも、知識がなければ見抜くことが難しい。ですから、基本的な金融の知識を身につけ、自分の身を守ることが大切だと思っています。

岡元:まさにその通りですね。それでは最後に、ゆりかさんの将来の夢を教えてください。

ゆりかさん:たくさん夢があって決めきれていないのですが、裁判官や医師に興味があります。副業として個人投資家にもなりたいです。

岡元:夢がたくさんあっていいですね。これからも学業も投資も頑張ってください。応援しています!本日はわざわざ名古屋からお越し頂きありがとうございました。次回またお会いできるのを楽しみにしています。