モトリーフール米国本社 – 2025年2月10日 投稿記事より
逆張りを恐れないバリュー投資家
ウォーレン・バフェット氏とバークシャー・ハサウェイの彼のチームは、史上最高の投資家の一人と言っても過言ではありません。だからこそ、バフェット氏がしばしば市場全体より一歩も二歩も先を行っていると知っても、投資家は驚かないでしょう。バフェット氏は常に、リセッションや市場の低迷をほぼ回避し、時間をかければうまくいくような非対称的な投資を行うことに長けています。バフェット氏もミスと無縁ではありませんが、何十年もこのビジネスに携わってきたバフェット氏と彼の投資チームは、何を探すべきか、何がうまくいくかを知っており、コンセンサスに逆らうことを恐れません。そして最近も、そのような姿勢を貫いています。
オマハの賢人は、ウォール街が知らないことを知っているのでしょうか?バフェット氏と彼のチームは、ウォール街の一部のアナリストが売却を推奨している高利回り銘柄を積み増しています。
バフェット氏の核心は常にバリュー投資家であり、本源的価値よりも低い価格で取引されている銘柄の中から、そのギャップを埋める可能性のある銘柄を見つけようとします。さらに近年では、バフェット氏は亡きパートナー、チャーリー・マンガー氏のアドバイスを受け、適正価格で取引されている素晴らしい企業も探すようになりました。これも大枠で見れば、バリュー投資戦略の一形態と言えるでしょう。
バークシャーが買い増すデジタル・オーディオ大手のシリウスXM[SIRI]とは
シリウスの発行済み株式の約35%に出資
バークシャーが2024年から買い続けている数少ない銘柄のひとつが、市場から見放されてきたデジタル・オーディオ大手のシリウスXM[SIRI]です。シリウスXM(以下、シリウス)の株価は、ここ2年以上の強気相場に全く参加しておらず、予想利益の約8.5倍でしか取引されていません。こうした市場環境で、厳密に言えば合法的な独占企業としては、信じがたいほど低いバリュエーションです。シリウスは、米連邦通信委員会(FCC)から衛星無線の免許を取得している唯一の企業です。
バークシャーのバフェット氏と彼のチームは、この株に何かを見出していると考えられます。彼らは2024年、購入した銘柄よりも売却した銘柄の方が多くなりましたが、シリウスには資金を投入していました。バークシャーは以前からシリウス株を保有していましたが、2024年に同社のポジションを大幅に増やし、それ以来その勢いが続いています。バークシャーは最近、さらに230万株を追加して総額約5,400万ドルを購入し、出資比率はシリウスの発行済み株式の約35%に達しています。シリウスは現在、バークシャーの3,000億ドルを超える株式ポートフォリオの約1%を占め、ポートフォリオの中で15番目に大きなポジションとなっています。
シリウスの苦戦要因とウォール街のアナリストの見解
シリウスの主な苦戦の原因は、スポティファイ・テクノロジー[SPOT]などの大手音楽会社やポッドキャスト会社がシリウスの有料会員を奪い始めている競争環境から生じています。最近では、シリウスはかなり大規模なポッドキャスティング・ブランドの独占広告・配信権を獲得し、同社の加入者動向を好転させたいと考えています。
シリウスは最近、第4四半期の業績を発表し、加入者数を1年半ぶりに増加させ、2025年のガイダンスを維持しました。投資家は楽観的とみられ、株価は2025年に入って16%近く上昇しています。しかし、多くのアナリストはまだ懸念を抱いています。決算後、バンク・オブ・アメリカ[BAC]のアナリスト、ジェシカ・ライフ・エーリッヒ氏は株価のアンダーパフォーム評価を維持し、目標株価を2ドル下げて21ドルとしました。過去3ヶ月間にシリウスに関するレポートを発表した12人のアナリストのうち、4人が株の売却を推奨しています。平均目標株価は、足元の水準から約7%の下落を示唆しています(2025年2月6日現在)。
バフェット氏と彼のチームは長期投資
この投資の背後にバフェット氏がいるのか、それとも同僚のインベストメント・マネージャーの一人がいるのかは不明です。しかし、シリウスの長期戦略は、新価格設定、新技術、ポッドキャスティングの新ブランドの追加などを含む一連の取り組みを通じて、加入者を約1,000万人増やし、フリー・キャッシュフローを6億ドル引き上げて18億ドルに成長させることにあります。もちろん、これらの目標に向かって前進している証拠を示すことができれば、株価は報われるでしょう。
バークシャーのチームは、事態がこれ以上悪くなることはないと考えているのでしょう。バークシャーはまた、長期間持ち続けられる銘柄を買うこと好みます。そのため、他の多くのアナリストが短期的に正しい見解を述べているとき、一方で、バークシャーが長期的に正しいという可能性もあります。また、シリウスは足元で4.2%の配当利回りを出しているため、バークシャーは毎年配当を受け取りつつ、経営陣が経営を立て直すことを待つことになります。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。バンク・オブ・アメリカはモトリーフール米国本社の広告パートナーです。元記事の筆者Bram Berkowitzは記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、バンク・オブ・アメリカ、バークシャー・ハサウェイ、スポティファイ・テクノロジーの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。