モトリーフール米国本社、2024年11月12日 投稿記事より

AIブームから恩恵が見込まれる2銘柄

人工知能(AI)関連企業の株価が、過去1年間の強気相場を牽引してきたのは偶然ではありません。データセンター市場ではAI技術への投資が活発化しており、投資家に利益をもたらすチャンスとなっています。以下では、2025年以降に優れたリターンを期待できる、重要なAIインフラを提供する主要サプライヤー2社を紹介します。

デル・テクノロジーズ[DELL]

デル・テクノロジーズ[DELL]は単なるPCブランドではありません。AIに最適化されたサーバーなど、企業の情報技術(IT)インフラの近代化をサポートする主力企業です。株価はここ数年で素晴らしい上昇を遂げていますが、依然として長期的な成長見通しに対して、魅力的なバリュエーションで取引されています。

同社の株価収益率(PER)は歴史的に低水準で推移しており、伸び悩むPC市場に依存している企業と同水準となっています。しかし、デルの2025年度(1月期)第2四半期(2024年5~7月期)1株当たり利益(EPS)が前年同期比86%増加したことを受け、ウォール街はサーバー市場の長期的成長を織り込み始め、PERは上昇しています。

デルの事業の約半分を占め、サーバー販売を含むインフラストラクチャー・ソリューションズ部門(ISG)の第2四半期売上高は前年同期比38%増となりました。AIサーバーの需要は加速しており、2024年末にかけてさらに高まるとみられます。経営陣によれば、同社は第2四半期に31億ドル相当のAIサーバーを出荷しましたが、パイプラインは引き続き拡大しており、38億ドルの受注残の数倍に上るとのことです。

AIインフラ・ソリューションに対する需要の急増は、利益率と利益にもプラスに寄与するとみられます。ウォール街のコンセンサスでは、デルのEPSは2027年度までに現在の2倍近い10.77ドルとなる見通しです。PERが上昇して20倍前後になれば、株価は今後1年ほどの間に215ドルに達する可能性もあり、足元の株価137ドルに対して57%の上昇となります。なお、PERが20倍になったとしても、S&P500種指数の平均に対して依然として割安です。

マーベル・テクノロジー・グループ[MRVL]

マーベル・テクノロジー・グループ[MRVL]の株価は過去1年間に着実に上昇している理由はデル・テクノロジーズと似ています。マーベルが提供する、データセンターやネットワーキング向けの主力半導体製品は、AIインフラへの投資拡大から多大な恩恵を受けると見られています。株価は先日、過去最高値を更新し、本稿執筆時点で年初来55%上昇しています。

マーベルのデータセンター向け半導体への需要は高まり始めたばかりであり、株価にはまだ上昇余地があります。データセンター事業の2025年度(1月期)第2四半期(2024年5~7月期)売上高は、前年同期比で2倍近い8億8,100万ドルでした。同社が手掛ける電気光学カスタムシリコン、ストレージ、ネットワーキング・スイッチ製品への旺盛な需要が成長を牽引しました。

マーベルに関して留意すべき点は、同社が家電メーカーや通信キャリアなど、幅広い市場向けに半導体を製造しており、そのために業績に波があることです。実際に、第2四半期売上高は前年同期比5%減でしたが、低迷している市場が回復すれば売上高も上向くとみられます。

事業が好調に推移すれば、株価もさらに上昇する可能性があります。経営陣によれば、企業向けネットワーキング市場と通信事業市場は回復し始めており、2025年が事業のターニングポイントとなる可能性があります。第2四半期までの12ヶ月実績売上高は53億ドルですが、アナリストは2027年度には通期売上高が90億ドルを上回ると予想しています。

デルと比べると、利益が安定していないマーベルの株価は評価が難しいものの、アナリストは今後数年間に年率23%の利益成長を見込んでいます。足元で2025年予想PERは37倍であり、過去3年間と同水準です。S&P500種指数は歴史的に年率10%のリターンを上げてきましたが、マーベルは2025年以降にS&P500種指数をアウトパフォームする可能性があります。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者John Ballardは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はマーベル・テクノロジー・グループの株式を推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。