10年金利のタームプレミアム、トランプ氏の大統領選勝利予想と連動
・米国の10年金利は9月から上がりはじめている。10年金利を短期金利と長期に対するプレミアム(タームプレミアム)に分けたとき、10年金利はタームプレミアム主導で上昇している。また、それに連動しているのがトランプ氏の大統領選勝利予想である。
・ではタームプレミアムと10年金利はどこまで上がるのか。金融政策とのかかわりの中で、タームプレミアムは上限を推移してきた。今後、構造的転換を迎えるのかは注意が必要だが、タームプレミアム主導による金利上昇は現在よいところまで来ている。仮にトランプ氏が大統領に就任することでもう一段上がるとしても、数十bpのところで上限に達するだろう。
・2016年トランプ就任時の長期金利のローソク足をみると、景気サイクルに沿って金利は動いていた。当時は金利上昇局面で景気は良かった。今回は断続的な利下げがコンセンサスの中で、長期金利が上がる可能性は低いと見る。金利にはピーク感が出てくる頃合いである。
投資妙味があるのはクレジット債券か米国債か
・債券版の恐怖指数である「MOVE指数」を見るとボラティリティが高まっている。一方、クレジット債券である投資適格債とハイイールド債のスプレッド(上乗せ金利)は低い。このタイト化したスプレッドで投資をした場合、クレジット投資と米国債のどちらに妙味があるのか。
・3年間でどれだけリターンが出るか。投資適格債、ハイイールド債ともに、今の水準では期待リターンはマイナスにもプラスにも大きくふれてしまい、リスクリワードがそれほどよい状況ではない。クレジットは割安とは言えない状況である。
・一方、米国債はどうか。債券ETFの配当利回り推移をみると、短期債、中期債、長期債、どの年限の債券の金利も上がり、配当利回りは上がっている。
・クレジット投資はリスクリワードが悪く、同様のリスクなら株式でとったほうがいい。一方、米国債は金利が高く妙味が出ているのではないか。この場合は金利リスクをとっていくことになる。
・中期債(10年程度)はほどよいリスクリワードである。長期債はより高いリターンが狙えるが、金利が上がった場合、価格が下がりやすい。しかし金利上昇時にポートフォリオの中で長期債が毀損されても、株やほかのリスク資産で十分補完される。金利低下の場合は、ほかのリスク資産が毀損されても長期債のリターンによって補完され、分散投資の効力を発揮する。中期債、長期債をポートフォリオに組み入れる意義は、過去のリターンの実績からも期待できるのではないか。