【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 39,669.39 ▼699.57 (4/16)
NASDAQ: 16,307.16 ▼516.01 (4/16)
1.概況
昨日の米国市場は、主要3指数がそろって大きく続落しました。エヌビディア[NVDA]が米政府によるH20チップの対中輸出制限により第1四半期中に約55億ドルの費用を計上すると発表したことを受け急落したことなどにより半導体株の下落が投資家心理の重荷となりました。また、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が同日の講演で、関税政策による影響を見極める形で、早期利下げに慎重な姿勢を示すと、下げ幅を広げる展開となりました。
ダウ平均は189ドル安で取引を開始すると、一時は47ドル高とプラス圏に戻す場面も見られました。しかし、その後は再び売られ、取引終盤にかけて下げ幅を広げていくと一時974ドル安まで下落しました。引けにかけてはやや下げ幅を縮めると最終的に699ドル安の39,669ドルで取引を終え、続落となりました。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は516ポイント安の16,307ポイント、S&P500株価指数は120ポイント安の5,275ポイントで取引を終え、いずれも続落しました。
2.経済指標等
3月の米小売売上高は前月比1.4%増となり、2023年1月以来の大幅な伸びとなりました。また、自動車を除くコア小売売上高は前月比0.5%増となり、市場予想(0.4%増)を上回りました。3月の米鉱工業生産指数は前月比0.3%低下となり、前回結果(0.8%上昇)を下回りました。また、設備稼働率は77.8%となり、市場予想(78.0%)と前回結果(78.2%)を下回りました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち、エネルギーのみが1%未満の上昇となりました。一方で、10業種が下落となり、特に情報技術は4%近く下落しました。また、一般消費財・サービスとコミュニケーション・サービスは2%以上下落したほか、金融や資本財・サービス、生活必需品、ヘルスケアは1%以上下落しました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では、全30銘柄中5銘柄が上昇となり、特にトラベラーズ・カンパニーズ[TRV]は1%以上上昇しました。そのほか、ボーイング[BA]やシェブロン[CVX]、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]が小幅に上昇しました。一方で、25銘柄が下落となり、特にエヌビディア[NVDA]は7%近く下落しました。また、アムジェン[AMGN]は4%以上下落したほか、アップル[AAPL]やマイクロソフト[MSFT]、スリーエム[MMM]は3%以上下落しました。その他の構成銘柄の多くも1%以上の下落となっています。
ダウ平均構成銘柄以外では、車両レンタル事業を展開するハーツ・グローバル・ホールディングス[HTZ]が、著名投資家ビル・アックマン氏が運営するパーシングスクエアが同社株を19.8%保有したことが明らかになると、56.4%高の大幅上昇となりました。一方で、オランダの半導体製造装置メーカーのASMLホールディング[ASML]は、第1四半期決算で、新規受注が市場予想を下回ったほか、第2四半期の売上高見通しも予想を下回り、7.1%下落しました。その他の半導体銘柄も大きく下げた銘柄が多く、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]は7.3%安、アプライド・マテリアルズ[AMAT]は5.0%安、インテル[INTC]は3.1%安、ブロードコム[AVGO]は2.4%安となりました。
5.為替・金利等
米長期金利は、前日から0.06%低い4.27%となりました。ドル円は、円高方向に進展し、141円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場で主要3指数が揃って下落した流れを引き継ぎ、本日の日本市場も下落してのスタートが予想されます。特に、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が4.1%安と大きく下落したことから、日本市場でも半導体関連株の下落が警戒されます。
なお、本日はディスコ(6146)の決算が控えているほか、赤沢経済財政・再生相がベッセント米財務長官らと関税交渉を行っており、関連ニュースのヘッドラインに敏感に反応する展開が想定されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)