S&P500は0.96%下落するもナスダック100は7週連続上昇
S&P500は先週0.96%下落しました。それでも10月18日につけた5,864.67ポイントという史上最高値まであと1%のレベルです。一方、テクノロジーセクターのウエイトの高いナスダック100については、先週0.14%上昇し、7週連続の上げとなりました。7月10日につけた史上最高値の20,675.38ドルまでは残すところあと1.6%です。また、ナスダック総合は、先週10月25日(金)にザラ場中の史上最高値を更新しました。
米経済堅調を受け、金利引き下げは先送りの懸念も
金利市場では、先週10年物米国債利回りが4.08%から4.24%へ上昇し、ドルも強含みとなったことで、金利引き下げが見送られるのではないかとの懸念が広がっています。この背景には、アメリカの経済が活発に成長を続けていることが挙げられます。このところの経済データでは、10月の米ISM製造業新規受注指数が過去1年半で最高水準に達しており、短期的に経済が失速する可能性は低いとされています。さらに、アトランタ連邦準備銀行によるGDP予測も堅調な成長を示しており、経済全体の底堅さがうかがえます。
10年物米国債利回りの上昇に伴い、今後6~8ヶ月間で、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げは予想を下回る回数となる可能性が意識され始めています。また、米大統領選でトランプ氏勝利の可能性が高まる中、財政赤字の拡大や中国からの輸入品に60%の関税を課す動きはインフレ圧力をさらに高めるとみられています。過度の金利上昇は株式市場の重しとなることも考えられます。
投資家を満足させたテスラ[TSLA]の決算発表、今週はアップル[AAPL]などマグニフィセント7銘柄に注目
第3四半期の決算発表が続いていますが、今期も堅調な内容が目立ちます。先週の決算発表のハイライトはテスラ[TSLA]でしょう。決算発表前の10月10日に行われたロボタクシーの発表については、市場の反応は賛否両論でした。
ファン層は依然としてこのロボタクシー計画の将来性に期待を寄せている一方、一部の投資家は具体的な導入時期や規制の承認に関する情報が不足していることに懸念を示しました。また、イーロン・マスク氏は最近トランプ氏への支持を強め、2024年の大統領選挙に向けてトランプ・キャンペーンに多額の寄付を行ったり、トランプ氏支持のイベントにも積極的に参加していました。テスラの株主は、マスク氏がテスラの経営にしっかりとフォーカスしていないことにヤキモキしていたのではないかと思います。
そうした状況の中、先週10月23日(水)に発表されたテスラの決算発表の結果を受け、株価は1日で22%上昇したのです。今回の発表では、GAAPベース(米国において適用される会計基準)の営業利益が市場のコンセンサス予想を40%以上も上回り、EBITDA(税引前利益に支払利息や減価償却費を加算した利益)の利益率は2023年第2四半期以来の最高値となるなど、多くの事前予想を大幅に上回るものとなりました。
テスラは、将来の夢、長期的な技術革新は見せてはいるものの、足元に対する懸念がありました。しかし、今回の発表では、投資家にとって長期的な技術革新への期待だけでなく、短期的な利益の持続可能性をも満たす内容であったことが確認できました。
第3四半期の決算発表は今週も続きます。今週のハイライトはマグニフィセント7(※)のうち5銘柄の決算発表でしょう。10月29日はアルファベット[GOOGL]、30日はマイクロソフト[MSFT]にメタ・プラットフォームズ[META]、31日はアップル[AAPL]とアマゾン・ドットコム[AMZN]の発表が予定されています。その翌週、11月5日は米国大統領選です。今後2週間は余談を許さない相場が続きます。
(※)アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA]