東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は、続落となりました。前日比21円安の38,933円で寄り付いた日経平均は、日本の政治情勢の先行き不安や株価指数先物の売りが膨らんだことから、弱含んで推移しました。

寄り付き後の前場は、軟調に推移し10時15分頃には753円安の38,200円まで下げ、本日の最安値をつけました。その後は反転するも、前場は555円安の38,399円で取引を終えました。

後場も引き続き弱含んで推移しました。衆議院選挙で、与党の苦戦が予想されるなどの報道や米国の対中規制への警戒感が意識され、上値の重い展開となりました。最終的には、542円安の38,411円で取引を終えました。

新興市場では、東証グロース250指数が反落、2.7%安となりました。

2.個別銘柄等

TOTO(5332)が前日比、一時219円(4.3%)安の4,906円をつけ、5日続落となりました。外資系証券によるセクターレポート内で、同社の投資判断が引き下げられたことが売りを呼びました。同レポート内では、中国事業の利益の弱含みが主要因とされています。なお、目標株価は従来の4,700円から5,000円へと引き上げられています。

セイコーエプソン(6724)は前日比58円(2.1%)高の2,849円をつけ、反発となりました。22日の日経新聞朝刊にて、追加の株主還元の余地があることが報じられたことがきっかけで買いが優勢となりました。同社は今期、既に最大300億円の自社株買いを発表しており、また第1四半期時点での年間配当は前期と同額の74円とされています。利益成長次第では、更なる株主還元が期待されます。

コーエーテクモホールディングス(3635)は前日比29円(1.9%)安の1,541円をつけ、反落となりました。21日に中間期の業績予想の修正を発表し、売上高は従来から30億円下方修正する350億円、一方で営業利益は20億円上方修正する100億円の見込みと発表しました。この上方修正で、営業利益は前年同期比27.8%減まで減益幅を縮めるも、市場はサプライズに乏しいとし株価は軟調に推移しました。

中古車買取・販売の「ガリバー」を運営するIDOM(7599)が前日比、一時282円(22.0%)安の1,001円をつけ、大幅安となりました。水増し請求の疑いから金融庁が同社への立ち入り検査を行ったことが報道され、今後の事業や業績への懸念した売りが膨らみました。金融庁は、2023年9月の旧ビッグモーターの保険金不正請求の検査時は、代理店登録の取り消しを実施しており、同社にもその影響が懸念されました。

企業間電子商取引の「スーパーデリバリー」を運営するラクーンホールディングス(3031)は前日比83円(11.6%)高の799円をつけ、年初来高値を更新する場面がありました。10月21日に最大11億円の自社株買いの実施を発表したことが好感され、大幅高を後押ししました。自社株買いは、発行済み株式数の5.1%である110万株を上限に買付けるとされています。

その他の銘柄では、前日に引き続き海運3社が連騰した一方で、値嵩株であるファーストリテイリング(9983)が3.2%安、ソフトバンクグループ(9984)が1.3%安、東京エレクトロン(8035)が3.1%安と日経平均の下押しに寄与しました。また日米ともに長期金利が上昇基調にあり、グロース株とされるエムスリー(2413)が4.9%安、メルカリ(4385)が4.0%安と軟調に推移しました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は、1.4%安で続落となりました。日本の選挙前の不透明感や、米国の対中規制が意識されリスクオフの展開となりました。

明日に向けての注目点は米国主要企業の決算です。ゼネラル・モーターズ[GM]、フィリップ・モリス・インターナショナル[PM]、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]、ロッキード・マーチン[LMT]、3M[MMM]が予定されており、足元でハイテク株の割高感が意識される中で、これらの企業の業績動向に注目が集まります。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)