1日の値幅が2,000円前後、前人未踏の領域に入る日経平均
株式市場が堅調です。日経平均は毎日のように史上最高値を更新しており、6月3日にはとうとう68,000円の大台を突破するまでに至りました。その後も毎日の値幅が2,000円前後に達し、高値圏で激しく変動を続けています。株価の水準そのものが前人未踏の水準に到達しているので、1日の値幅も、かつて経験したことのないほど大きくなっています。
最近の株式市場の傾向として、あるセクターの上昇が一服すると、すぐに別の業種が買われたりして、マーケット全体では少しも休む気配を見せません。さらに言えば、時価総額の大きな総合電機メーカーや自動車セクターの動きは鈍りがちですが、特定の工程で存在感を発揮する小ぶりのニッチ企業の値動きが良いようです。
その理由として考えられるのは、AIを通じた技術革新に伴う資金は、バリューチェーンの上流から中流に集まっている、という点です。
生成AIブームの本質は「巨大な設備投資サイクル」
2000年にピークをつけた「ドットコム・バブル」はソフトウェアが中心でした。あるいは2005~2007年の「PCブーム」、2013~2015年にかけて沸き上がった「スマホブーム」では、川中の電子部品メーカーと最も川下に位置する最終製品メーカー、通信キャリアが主役となりました。
しかし目下の「生成AIブーム」はAIを支える設備(データセンター)、それを構成する半導体、光ファイバー、それらを製造するための原材料を供給する素材セクターで高い利益成長が確認されています。
AIブームとは、本質的な意味で巨大な設備投資サイクルです。かつて見られたようなソフトウェア革命ではありません。そのためにAI投資の恩恵は設備メーカーや部材メーカーに集中しています。
なぜ今、大手総合メーカーよりも「小ぶりのニッチ企業」なのか
総合電機メーカーは事業領域が広く、AI投資による恩恵が全体の利益に占める割合は限定されてしまいます。反対にアドバンテスト(6857)、ディスコ(6146)、フジクラ(5803)などの代表的な企業は、売上高がAI投資の動向に連動して変動します。
そこにニッチ企業の活躍余地が出てきます。ニッチ企業は非常に限られた領域で事業を行っているため、競争相手が少なく代替が利かない存在です。したがって価格決定力も強く、クライアントも簡単には取引先を変更しないという前提に守られています。
競争相手が少なく代替が利かない!独自の強みを持つ企業4選
AI分野の設備投資が拡大するほど、このようなニッチなプレーヤーの活躍余地が広がってきます。ここでは半導体やAI投資に限定せずにグローバルなニッチ企業をご紹介します。
巴工業(6309)
遠心分離機の専門メーカー事業と化学品商社事業の2つを手がける。デカンター型遠心分離機では国内トップシェアを持つ。遠心分離機は医薬品・食品メーカー、化学メーカーに不可欠の存在で、石油掘削、石炭火力発電、リサイクル産業でも大きな威力を発揮する。需要旺盛で今期も最高益更新の見込み。完全無借金のキャッシュリッチ企業。時価総額500億円強に対して現預金は130億円に達する。
エスペック(6859)
気温や湿度の変化が製品に与える影響を分析する環境試験装置のトップメーカー。1961年に日本で初めて環境試験器を開発して以来、常にパイオニアとして業界をリードしてきた。2014年と2020年には経済産業省が認定する「グローバルニッチトップ企業100選」に選出されている。国内外に関連企業19社を有し、海外売上比率は50%超。電池や半導体分野では熱制御が重要で今後も需要増が見込まれる。
アネスト岩田(6381)
塗装機械(スプレーガン)と圧縮機(コンプレッサ)の2本柱で事業を展開。自動車メーカー向けに出荷する塗装機械では国内シェア7割を超える。欧米やアジアにも積極展開する。世界で初めて潤滑油を使用しないコンプレッサを開発・製品化した。オイルの混ざらないクリーンな圧縮エアを供給できるのが特徴。スプレーガンも欧米の厳しい環境規制にいち早く適合した環境配慮型製品で信頼性が高い。高配当利回り銘柄。
JRC(6224)東証グロース
屋外で使用するベルトコンベヤーのリペア用部品の製造・販売に特化するニッチトップ企業。露天掘りなど屋外で重量物を搬送するベルトコンベヤー用に消耗の激しい「アイドラ(ローラーと架台)」や「プーリ(滑車)」を製造する。2018年には自社の工場で実施した自動化のノウハウを活かしロボットシステム事業を開始。ベルトコンベヤー、環境エネルギー、ロボットの3つの事業をカンパニー制で運営。最高益を更新。
