【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 42,011.59  ▼184.93 (10/3)
NASDAQ: 17,918.48  ▼6.65 (10/3)

1.概況

米国株式市場は、雇用統計を控えるなかで、中東情勢の深刻化が懸念され反落となりました。ダウ平均は96ドル安でスタートしましたが、ISM製造業景気指数が予想を上回り、景気後退懸念が緩和したことで、一時下げ幅を70ドルまで縮めました。しかし、その後は米東海岸の港湾労働者のストライキによる物流停滞懸念や雇用統計を控えるなかで売りが再び加速し、最終的に184ドル安の42,011ドルで取引を終えました。一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合指数はエヌビディア[NVDA]の大幅上昇が下支えとなり、6ポイント安の17,918ポイントで取引を終えました。

2.経済指標等

9月のISM非製造業景気指数は54.9となり、市場予想および前回結果(ともに51.5)を上回りました。また、先週の新規失業保険申請件数は前週比6,000件増の22万5,000件と市場予想以上に悪化しましたが、4週移動平均は22万4,250件に減少し、6月以来の低水準となりました。8月の耐久財受注は前回から横ばいで市場予想と一致しました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうちエネルギーや情報技術、コミュニケーション・サービスの3業種が上げました。一方で、一般消費財・サービスや素材、不動産などの8業種が下げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄では5銘柄が上げ、なかでもアイビーエム[IBM]が1%超の上昇となったほか、セールスフォース・ドットコム[CRM]やシェブロン[CVX]、ホームデポ[HD]、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が上昇となりました。一方で、24銘柄が下げ、メルク[MRK]やボーイング[BA]、アマゾン[AMZN]は1.5%超の下落となりました。また、ナイキ[NIKE]やゴールドマン・サックス[GS]、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]は1%以上下げています。

ダウ平均構成銘柄以外では、半導体企業エヌビディアが3.4%上昇しました。同社のジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)がインタビューで、AI向け次世代チップ「ブラックウェル」の需要が「常軌を逸している(Insane)」と発言したことが材料視されました。また、中東情勢の緊迫化による原油高を受け、石油精製会社のバレロ・エナジー[VLO]は6.2%上昇し、石油・ガス開発会社のダイアモンドバック・エナジー[FANG]は3.9%上昇しました。

一方、原油高の影響で太陽光発電関連銘柄は下落しており、ソーラーエッジ・テクノロジーズ[SEDG]は6.4%下落、エンフェーズ・エナジー[ENPH]は1.4%下落しました。また、電気自動車メーカーのテスラは、7億8,300万ドルの債券発行とサイバートラックのリコール報道により3.4%下落しました。さらに、人工知能(AI)や自動運転分野を統括する最高情報責任者(CIO)の退社が報じられ、10日に予定されている自動運転タクシー(ロボタクシー)の発表を控えるなかで、経営に対する不透明感が高まっています。また、主力車種「モデル3」の最廉価版である後輪駆動タイプが米国の公式ウェブサイトから削除され、消費者の節約志向が強まる中、販売の伸び悩みが懸念されています。

5.為替・金利等

長期金利は0.06%高い3.84%となりました。ドル円は、146円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は、米国市場が小幅安となったことから、軟調なスタートが予想されます。米雇用統計を控え様子見となりやすいなかで、日経平均は節目の38,500を維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)