毎週金曜日にこのつぶやきを書いていますが、二週間前に「マーケットは夏バテか?」、一週間前に「急落」、という題名で書きました。果たして、今週月曜日にマーケットは暴落しました。何が起きたのか、これからどうなるのか、はまだ分からないことも多いですが、恐らく「レバレッジの精算」から起きたことのように見えます。これは一週間前、暴落前夜のつぶやきに、「長期分散投資ポートフォリオで買われたものでなく、追加的にリスクを取ってリターンを狙いに行ってたようなポジションが、慌てて売られたような様相です」と書きましたが、まさにそのことです。
レバレッジの精算とは、典型的な例はリーマンショックの時で、あの頃は中国が安い労働力を世界中に供給してデフレがちになり、金利が低くなる中で、欲のレベルは金利と比例して下がらなかったバンカーと投資家が、金利商品にレバレッジを掛けることで儲けとリターンを無理矢理に創り出して、それが限界に来たために弾けて、一気にレバレッジの精算=デレバレッジが起き、世界の金融市場は混乱に落ちたのでした。34年前に日本で大蔵省が行った総量規制は、銀行の不動産向け融資を抑制する、典型的かつ意図的なデレバレッジであり、バブルは崩壊し、長い低迷期に日本経済は陥ったのでした。
しかしこれらの本当のレバレッジの精算に比べると、今回のことはとても表層的で小さなもののように見えます。何故なら、そもそも日本中或いは世界中が日本のマーケットでレバレッジを取っていた、即ちお金を一杯借りてリスクを取っていた訳ではなく、あくまでも一部のプロの投機家・投資家がそういうことをしていたとしか私には見えないのです。国内の個人投資家は増えましたが、それはNISAによるレバレッジを掛けない投資家が主であり、個人による信用取引の残高が、それほど伸びていた訳ではありません。そして日銀の動きも、たった0.25%の政策金利の変更であり、そもそも(国以外の)借金がとっても少ない日本に於いては、金利引き上げによるデレバレッジの影響は限定的です。
ですから今回のことは、一週間前のつぶやきに書き、上に再度引用した、「追加的にリスクを取ってリターンを狙いに行ってたようなポジション」という限定的なレバレッジの精算が行われたに過ぎない、或いはそれが主であったようにしか思えないのです。しかしそれでこんなに大きな暴落が起きるか?という疑問も湧きますが、追加的な投機行動によってススっと上がった部分も大きいマーケットだったので、その道を戻るのも速かったのでしょう。そしてこれは、本格的なレバレッジがあった訳でもないから本格的なデレバレッジではないと思われ、従ってその谷はそれほどには深く長いものではなく、一方日本株が上がってきた本源的な理由は日本社会や経営者の世代交代による変化だと思うので、一旦調整はしましたが、ここからまた日本株はぶれながらも上がっていけるだろうと、私は考えています。
さはさりながら、マーケットが落ち着くにはもう少し時間が掛かるかも知れません。然しながら長期的な展望は、建設的なビューを維持したいと思います。