2024年6月13日(木)8:50発表
日本 法人企業景気予測調査2024年4-6月期

【1】結果:大企業景況判断BSIは横ばいながら2期ぶりにプラス転換

法人企業景気予測調査は、経済の現状及び今後の見通しに関する基礎資料を得ることを目的として、個社の景況感(図表1「貴社の状況」といった形でヒアリング)や、国内の景況感を示すBSI(Business Survey Index)で調査されます。

BSIとは、前期と比較した変化方向別の回答社数構成比から、先行きの経済動向を予測する手法です。今回の回答結果ですが、貴社の状況では、2024年4-6月期において大企業(全産業)では上昇超に転換していますが、中堅・中小企業では景況判断は下降と回答した企業が上回りました。国内の景況感については、大企業(全産業)・中堅企業においては上昇超ですが、中小企業では下降といった、まちまちの結果となりました(図表2)。

【図表1】貴社の状況BSI(%ポイント)
出所:財務省よりマネックス証券作成
※ 前四半期と比較して「上昇」-「下降」の社数構成比
【図表2】国内の景況BSI(%ポイント)
出所:財務省よりマネックス証券作成
【図表3】法人企業景気予測調査「貴社の状況」企業規模別の推移(%ポイント)
出所:財務省よりマネックス証券作成、黄色シャドーは翌期以降の見通し
【図表4】法人企業景気予測調査「国内の景況」企業規模別の推移(%ポイント)
出所:財務省よりマネックス証券作成
※ 黄色シャドーは翌期以降の見通し

【2】内容・注目点:先行きとしては、企業規模問わず改善の見通し

法人企業景気予測調査は、ソフトデータでありながら個々の企業の景況感について先行きが確認できる点で注目されています。前回2024年1-3月期の時点で、今期である4-6月期の景況感は企業規模問わず改善する見通しでしたが、現状判断では未達、下方修正する結果となりました。

とはいえ、大企業は小幅ながらプラス転換で持ち耐えた印象で、見通しは、短期系列でみると企業規模問わず改善していくことがわかります(図表5)。大企業は、翌期で改善するもその後は横ばいが予想されており、通期の景況感については強気とはいえないと考えられます。

【図表5】法人企業景気予測調査「貴社の状況」企業規模別の推移(2023年3月~、%ポイント)
出所:財務省よりマネックス証券作成
※ 黄色シャドーは翌期以降の見通し

【3】所感:令和6年度は増収減益、増益業種は直近傾向とも整合的と判断

内容を総括すると、先行きの景況判断は改善していく見通しと考えられます。企業収益の項目では、令和6年度の売上高は全産業で前年度比2.6%と前回調査の2.1%より上昇しています。

一方で、経常利益は同マイナス1.8%が見込まれ、増収減益が予想されています。減益に寄与する業種は製造業では「化学工業」や「自動車・同付属品製造業」で、非製造業では「卸売業」や「運輸業・郵便業」でした。また、通期での増益が見込まれた業種は、製造業では、「業務用機械」や「生産用機械」で、機械受注が金額ベースで堅調であることからも整合性がうかがえます。

参考:【日本】2024年3月のコア機械受注は前月比+2.9%の結果に

非製造業では日銀による政策変更による金利上昇期待から収入増が見込める「金融、保険」やインバウンド需要が堅調な「小売」といった業種で、企業としてもこれらのトレンドが通期で続くと判断していると考えられるため、注目業種と言えるでしょう。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太