2024年5月22日(水)8:50発表
日本 機械受注統計調査2024年3月

【1】結果:3月機械受注統計総額は3兆円台の大台

機械受注 船舶・電力除く民需 ※以下、コア機械受注
 実績 9,130億円
 前月比 +2.9%
 前年比 +2.7%

外需
 実績 11,216億円
 前月比 -9.4%
 前年比 +5.2%

2024年3月のコア機械受注は、前月比で市場予想マイナス2%を上回る+2.9%の結果となりました。前年比でも市場予想の+1.4%を上回っています。機械受注(月次ベース)の総額は3月のデータで、前月比+12.1%増の3兆1,429億円と、2022年4月以来の3兆円台となりました(図表1)。

【図表1】機械受注総計の推移(単位:兆円)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

船舶と電力を除いたコア機械受注も同様に前月から2.9%、金額にして約261億円増加しており、3月の期末で受注残の消化によって上昇したと考えられます。

【図表2】コア機械受注総額の推移 (2021年~、単位:十億円)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:製造業が堅調、非製造業は軟化

機械受注統計は、設備投資動向を確認できる指標です。今回の3月の結果では、製造業では業種別で17業種中8業種が増加、9業種が前月比で減少しました。増加した業種は、造船業、その他輸送用機械で、減少した業種は繊維や食品製造業でした。インフラ関連を中心に上昇した印象で、食品などの内需は弱まりました。

非製造業では、12業種中4業種が増加、8業種が減少という結果でした。上昇業種は、リース業や電力業、減少業種は鉱業・採石業・砂利採取業や農林漁業です。図表3の通り、非製造業では前月比マイナスで推移しています。しかし、内閣府が同時に発表する今四半期(4-6月期)の見通しではプラスの推移をすることが予想されており、均した基調としては引き続き上向きであると考えられます。

【図表3】業態別機械受注総額の推移 (2022年3月~、単位:十億円)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

【3】所感:今期は足踏みの見通し、生産回復が鍵

今四半期(24年4-6月期)の見通しは、全体の受注総額では前期比マイナス0.1%減となることが見込まれています。コア機械受注でも、同マイナス1.6%で、全体感としては今四半期の設備投資は足踏みといったことが予想されます。

受注総額について、前四半期(24年1-3月期)がその前の期(23年10-12月期)比で+6.3%と高水準で推移したことの反動や、金利動向など先行きの不透明感がある中で様子見といった背景が考えられます。鉱工業生産指数から、生産の持ち直しが示され始めているので、堅調な生産・出荷が続けば企業も設備投資の増加と好循環の流れが予想できるでしょう。そのため生産動向に注目したいと思います。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太