FRBによる利下げ開始は先送りになる見込み
米労働省が発表した5月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比27.2万人増と市場予想の18.5万人増を上回り、平均時給も市場予想を上回りました。米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始が先送りになるとの観測が再び高まり、米長期金利の上昇とともに米ドル円は157円台で強含んでいます。
6月10日週は米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合などの中銀イベント、また米国の物価指標など、週後半にイベントの消化を多数控えています。FOMCに関しては、政策金利の据え置きが濃厚です。日銀会合に関しては、現状維持なのか、長期国債の買い入れ減額などが決定されるのかどうか。それによる為替市場の反応が注目されます。
米ドル/円の当面の上値メド、176.67円処が重要な水準
米ドル/円の考えられる当面の上値メドは、4月16日のコラム「米ドル/円も新ゾーンに突入」で解説しているように、2023年11月高値(151.92円)からの円高幅に対する倍返しの163.60円処、2022年10月高値(151.94円)からの円高幅に対する倍返しの176.67円処となります。
特に176.67円処という水準は、2011年10月安値(75.55円)を起点としたN字上昇波動のE計算値に相当する重要な水準です。このE計算値とは一目均衡表の均衡点(目標値)の1つです。その他にN計算値やV計算値、NT計算値がありますが、その中でもE計算値は最も高く算出される計算方法です。2011年10月安値から2015年6月高値までの円安幅を、高値からさらに当てはめた176.15円処がE計算値となります。
「対等数値」で上値メドを予測した場合
では、いつなのか?ということも予測したくなるところです。一目均衡表では上記のように値幅を観測する手法の他、時間を観測する手法があります。詳細は割愛しますが、「基本数値」と「対等数値」などを使って、相場の変化日(相場に何らかの変化が起きる日)を予測しようというものです。一目均衡表では、「相場の主体は時間にあり、価格は結果として従ってくるものである」という考え方が重要視されます。
ここでは、「対等数値」を使います。ある変化日(高値や安値)から別のある変化日(高値や安値)までに要した時間を基に、「次の変化日」を予想します。過去に要した時間と、同じ時間が経過する対等数値(期間)が「次の変化日」として重要になるという考え方です。対等期間を重複させることや、対等期間を離すことも可能です。
例えば、米ドル/円を1994年から月次ベースでみて、さまざまな数値の中から重要な数値だけを取りあげます。それは、1998年8月高値(147.20円)から2011年10月安値(75.55円)までに要した「159ヶ月」です。その「159ヶ月」を2011年10月安値から将来に対等させると、2024年12月となります。
また、2011年10月安値からコロナショック時に安値をつけた2020年3月安値(101.17円)までに要した「102ヶ月」を、2016年6月安値(99.00円)から将来に対等させると、2024年11月となります。さらに、2011年10月安値から2016年6月安値までに要した「57ヶ月」を、2020年3月安値から将来に対等させると、2024年11月となります。
私が重要なフシとみている、「2011年10月安値」と「2020年3月安値」をベースにした時間の観測の結果、2024年の11~12月が重要な「次の変化日」になりえると考えることができます。