【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 37,965.60 ▼349.26 (4/7)
NASDAQ: 15,603.26 △15.48 (4/7)
1.概況
昨日の米国市場は、高安まちまちとなりました。米中貿易摩擦の拡大が警戒され、寄付き後は下落しましたが、トランプ大統領が90日間の相互関税の一時停止を検討しているとの報道が広がると、一時的に大きく買い戻され、大幅に反発しました。しかし、米政権がこの報道を否定すると、再び下落に転じるなど、荒い値動きとなりました。トランプ大統領も同日午後に、関税の一時停止について「考えていない」と発言しています。一方、エヌビディア[NVDA]が下げ止まり、相場を下支えしたことで、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数はプラス圏での取引を終えました。
ダウ平均は435ドル安で取引を開始し、下げ幅を拡大して一時1,703ドル安の36,611ドルまで下落しました。その後、買い戻されて上昇に転じると、上げ幅は一時892ドルまで達し39,207ドルをつけました。しかし、再び売りに押され、最終的には349ドル安の37,965ドルで取引を終え、3日続落となりました。
S&P500株価指数も11ポイント安の5,062ポイントで取引を終え、3日続落しています。一方、ナスダック総合株価指数は15ポイント高の15,603ポイントで取引を終え、3日ぶりに小幅な反発となりました。
2.経済指標等
主要な経済指標の発表はありませんでした。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうちコミュニケーション・サービスと情報技術の2業種が上昇しました。特にコミュニケーション・サービスは1%以上上昇しています。一方で、9業種が下落となり、特に不動産が2%以上下落したほか、素材や公益事業、生活必需品が1%以上下落しました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では、30銘柄のうち8銘柄が上昇となり、特にエヌビディア[NVDA]は3%超上昇しました。また、アマゾン・ドットコム[AMZN]は2%超上昇し、ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]やボーイング[BA]、セールスフォース[CRM]、スリーエム[MMM]は1%超上昇しました。一方で、22銘柄が下落となり、特にアップル[AAPL]やホームデポ[HD]、トラベラーズ・カンパニーズ[TRV]は3%超下落しました。
また、ナイキ[NKE]やシャーウィンウィリアムズ[SHW]、キャタピラー[CAT]、コカコーラ[KO]、シェブロン[CVX]、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]が2%超下落、ハネウェル・インターナショナル[HON]やジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]、アムジェン[AMGN]、ゴールドマン・サックス[GS]、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]が1%超下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、ディスカウントストアのダラー・ツリー[DLTR]がアナリストによる投資判断と目標株価の引き上げを受けて、7.8%上昇しました。そのほか、マイクロン・テクノロジー[MU]やブロードコム[AVGO]、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]などが5%超上昇しました。
一方で、自動車のゼネラルモーターズ[GM]とテスラ[TSLA]はアナリストによる目標株価の引き下げを受けて、ゼネラルモーターズは1.5%下落、テスラ[TSLA]は2.6%下落しました。フォード・モーター[F]も3%以上下落しています。そのほか、トランプ大統領が高齢者の医療保険であるメディケアに肥満治療薬を保険適用から除外すると決定したことを受けて、イーライリリー・アンド・カンパニー[LLY]は2%近く下落しました。
5.為替・金利等
米長期金利は前日から0.18%高い4.18%となりました。ドル円は、円安方向に動き、147円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場は高安まちまちとなったものの、エヌビディアが下げ止まり、フィラデルフィア半導体株(SOX)指数が2.7%上昇したことを受け、日本市場でも値嵩の半導体株を中心に買い戻しが期待されます。外国為替市場での円安進行も追い風となり、本日は反発して始まる見通しです。
日経平均先物は夜間取引で上昇し、1,550円高の3万2,510円で終了していることから、日経平均も寄付きから3万2,000円台を回復する展開が見込まれます。一方、相互関税の一時停止に関する報道を米政権とトランプ大統領が否定しており、関税を巡る懸念は依然として続いています。こうしたなか、石破首相は7日夜にトランプ大統領と電話会談を行い、担当閣僚を指名して協議を継続することで一致しました。今後も引き続き、関税を巡る報道によって相場は不安定な動きとなりそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)