今回はゴールデンウィーク連休前の5月2日、あるテレビ番組に生出演した際に、同席したキャスターから事前に頂いた質問と、私が出演直前に考えた回答を紹介したいと思います。実際、生放送内でどれだけ答えられたかは別として、たまにはこんなネタも許されることでしょう。
現在の株価調整、その背景にある要因とは
――現在の株価調整の要因について、いつ頃、どれくらいまで日経平均が下がれば調整は完了するのでしょうか?
やはり、米国の利下げ期待の後退が1番の要因です。インフレの押さえ込みが効かなくなってきた、中東情勢による原油高など色々な要因がありましたが、結局のところ、米国の金融不安、中国の不動産不況の情勢などを踏まえると、最近の米連邦準備制度理事会(FRB)高官のタカ派的な発言には、利下げ余地を十分に残したかったという背景があったと思います。
一方で、パウエルFRB議長の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の発言では、「次の行動が利上げになる可能性は低い」というコメントが発せられたので、そろそろ落ち着きを取り戻し、これからは金利低下局面が短期的には到来するのではないでしょうか。
国際通貨基金(IMF)が最近、短期的には好調な米国経済の牽引で、2024年の世界経済は前回の予測より0.1ポイント高い3.2%成長になると上方修正しました。2024年の経済は底堅いため金利は下がりづらいという前提に立てば、金利のある程度の高止まりは仕方ないでしょう。
ただし、インフレがまた心配になってきたことで、この金利上昇の上乗せ部分が過度な利下げ期待で上げてきた株式市場の心理を悪化させたとも思います。特に、スピード違反に近い動きだった日本株の押し幅を大きくしてしまいました。
株価は下がれば下がるほど、リカバリーに時間を要するため、調整が完了するにも時間がかかりますが、「日経平均がいくらまで下がると安心して買えますか?」という観点で考えると35,000~36,000円程度でしょう。
とはいえ、私は5月ゴールデンウィーク明けに強くなる場面が一時的にあると思います。FOMCを終えてゴールデンウィーク明けには落ち着くのではないでしょうか。ただ、日経平均はさすがに3月高値を超えられず、6月に向けて押し戻されるでしょう。平たく言うと、しばらくは37,500~39,500円のもみ合いが続くとみています。
テクニカル的側面から考える今後の日経平均、米ドル/円相場の動き
――現在、目安とする上で最も有効なテクニカルツールとしては、何が考えられますか?
日経平均は3月22日高値からの調整局面にあって、1ヶ月以上過ぎています。20日、25日移動平均線が下向きになっているため、4月19日安値からのリバウンドの域を脱しておらず、まだ値固めの範ちゅうの値動きです。これからの株価の動き次第ですが、日数が経過するにしたがって、10日、20日、25日移動平均線の短期線が上向きになってくる可能性が高くなってきますので、そこを見定める局面にあります。
2024年初めから3月までの上昇に対して全値押しするほどの調整ではないので、まだ短期線の悪化にとどまっている状況で、それらが好転するには日柄調整に少し時間がかかるというのが基本的な見方ではないかと思います。
――為替市場についてですが、米ドル/円相場をテクニカル的に見ると、次のメドはいくらくらいでしょうか?
2023年11月高値(151.92円)から12月最終まで12円弱円高幅に対する倍返しの163.60円処。2022年10月高値(151.94円)からの円高幅に対する倍返しの176.67円処となります。ただ、来週までで円安進行は一旦一巡すると思います。