過去40年の中では、年間で最も波乱が起きやすい月

「3月相場はよく動く」、これは過去の特徴といえる点なのです。相場全体を示すTOPIX(東証株価指数)の1985年から2024年までの40年間、月間ベースで高値と安値の間にどれぐらいの値幅が生したかを値幅率としてみました(図表1)。すると、3月は9%と年間では最もよく動く「月」となる傾向がみてとれます。コロナショックがあった2020年の23%が平均を大きく押し上げた側面はありますが、過去40年の中では2ケタの値幅率となった年が12回もあり、年間で最も波乱が起きやすい月といえそうです。ただし、あくまでどれだけ値幅が大きく動くかを示しており、上昇するか下落するかは別の話です。

【図表1】TOPIXの月間の値幅率(過去40年平均:1985年~2024年)
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチが作成

3~4月は年間を通じて最も上昇率が高くなりやすい傾向

この40年間の月間騰落率、つまり前月終値からの上昇率と下落率の平均をみると、3~4月は年間を通じて最も上昇率が高くなりやすい傾向がみてとれます。年末近くの一般的なクリスマスラリーに対して、スプリングラリーといわれるほど過去は強かったタイミングといえるでしょう。ただし、あくまでも平均ですから、単年ベースでみると決してすべての年にこのパターンが当てはまるわけではありません。実際、2025年の2月のTOPIXは3.8%も下落しました。

図表2で示したように、2月に下げる傾向はここ直近10年間に限るとよくあるケースで、3月以降、海外投資家が日本株を買い越す傾向が強い4月を挟んで、「Sell in May」の5月にかけては、上昇する傾向が確認できます。

【図表2】TOPIXの月間の騰落率(過去10年平均:2015年~2024年)
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチが作成

日本株は現在保ち合い相場が続いている

このような観点で考えると、2025年の2月の下落も一時的という見方ができます。日本株は現在保ち合い相場が続いていて、世界市場全体でみると、大型株・小型株ともに2025年に入ってからの出遅れ感が顕著です。大型株に関しては、2024年夏場までの世界主要指数に勝っていた、もしくはその反動が続いているということであれば、外部環境が極端に悪化しない限りは、また日本株優位の順番が到来するというシナリオは想定しておくべきでしょう。