モトリーフール米国本社– 2025年3月9日 投稿記事より

2025年に入ってから株価が下落しているAI関連銘柄は投資の好機となるか?

AI技術の台頭は、関連する企業の株式を保有する投資家に資産を築くチャンスを提供するでしょう。また、AIによってもたらされる生産性の向上は、長期的には世界経済に数兆ドルの価値をもたらす可能性があると推計されています。

市場をリードするAI関連銘柄は、ここ数年の目覚ましい上昇を見せた後、2025年に入りやや下落しています。市場の長期トレンド重視という姿勢を維持する投資家は、この調整が将来的な利益を得るための機会と捉えるでしょう。今回は株価が最高値から大幅に下落している2銘柄を取り上げます。

1.サウンドハウンドAI[SOUN]

サウンドハウンドは音声アシスタント技術の最先端にあり、売上げが急拡大しています。しかし、2024年の株価急騰の後、本稿執筆時点まで年初来で株価は49%下落しています。下落の大部分は、AI半導体大手のエヌビディア[NVDA]がサウンドハウンド株売却を開示したあとに起きたものです。しかし、状況をよく見ると株価は過剰に反応しており、格好の投資タイミングを提供していると考えられます。

サウンドハウンドとエヌビディアは自動車用AIソリューションで協業してきました。両社の提携関係は2025年初めのコンシューマー・エレクトロニクス・ショー「CES2025」で取り上げられました。サウンドハウンドは近く開催されるエヌビディアのAI開発者会議「GTC2025」に出席し、エヌビディア・ドライブAGXシステムに搭載される生成AIを使った、音声アシスタント技術を披露するとみられています。

サウンドハウンドの売上高は2024年にほぼ倍増しましたが、その一部は企業向けAIを手がけるアメリアを買収したことによるものです。この買収は、サウンドハウンドが自動車や外食産業以外に、小売り、銀行、ヘルスケアセクターに参入し、獲得可能な市場を拡大する一助となりました。2024年第4四半期に、サウンドハウンドは米国の電力大手との契約をまとめ、エネルギー業界にも参入しました。

サウンドハウンドの未来は明るいように思われます。経営陣は第4四半期の決算説明の中で、新たな機会に向けたパイプラインは強固で、顧客にとって価値が高まる新たな機能を付加することに注力し続ける姿勢を示しました。サウンドハウンドは2025年の売上ガイダンスを1億5,700万~1億7,700万ドルに引き上げました。中央値で見ると、前年比96%増となります。

本稿執筆時点の株価売上高(PS)倍率は45倍で、株価は割高に見えますが、バリュエーションに見合う成長が可能なはずです。サウンドハウンドは大きな可能性を秘める中規模銘柄です。現在の時価総額は40億ドルですが、今後10年以内に大幅に拡大する可能性があると思われます。

2.デル・テクノロジーズ[DELL]

テクノロジー企業はAIの作業量増加に対処するためのコンピューティング・インフラの拡大に向け、巨額の投資を行っています。統計データを提供するスタティスタは世界のAIサーバー市場は2023年の310億ドルから2033年には4,300億ドルに拡大すると予想しています。デル・テクノロジーズは恩恵を享受する好位置にあります。デルの売上高の過半はパソコン(PC)や関連付属品の販売ですが、46%はサーバーを含むインフラ・ソリューション事業によるものです。

本稿執筆時点で株価は2024年につけた最高値を46%下回り、年初来では17%下落しています。これは関税に対する懸念および貿易摩擦によるサプライチェーンへの影響が、短期的なデルの見通しに対する不透明感を高めているためです。デルのサプライチェーンは強靭であり、こうした障害を克服し、長期的な機会は、関税がコストに及ぼす短期的な影響をはるかに上回ると思われます。

デルは最近、イーロン・マスク氏率いる大規模言語「グロック」の開発企業エックスAI(xAI)と契約を結び、デルのAIサーバー受注残は90億ドルに拡大しました。デルの2024年インフラ・ソリューション事業の売上高は436億ドル、前年比29%増に増加し、軟調なPC販売を相殺しました。デルは2025年売上高を前年比8%増、1株当たり利益(EPS)を同14%増と予想しています。これはサーバー需要が原動力となっています。

デルの従来型サーバーおよびストレージ・ソリューション事業の売上高も、引き続き拡大しています。デルの「パワーストア(PowerStore)」製品は、過去4四半期連続で需要が強いことを示しました。これは、単にサーバーを販売するだけでなく、他社にはないサービスの提供と顧客に価値をもたらすことで、市場におけるリーダーシップが確立していることを示しています。

デルは、AIハードウェアとサービスの獲得可能な市場が今後数年間、年率33%成長を続け、2027年までに2,950億ドルに達すると予測しています。デルのPC事業は、企業や消費者がAI対応PCにアップグレードするため、今後数年間で需要が改善するはずです。また、マイクロソフト[MSFT]の「Windows 10」のサポート終了も、PC販売が拡大するきっかけとなる可能性があります。

重要なのは、デルの株価が割安であるという点です。執筆時点の株価は、2025年の予想株価収益率(PER)がわずか10倍、予想配当利回りは2.2%です。このバリュエーションはデルのPC事業に対する期待の低さを反映していますが、インフラ・ソリューション事業の需要は強く、2桁の利益成長を牽引しています。これは、デルの投資家にとって、大きなリターンの可能性を示しています。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の著者John Ballardはエヌビディアの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はマイクロソフトとエヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、次のオプションを推奨しています。マイクロソフト2026年1月限月395ドル・コールオプションのロング、マイクロソフト2026年1月限月405ドル・コールオプションのショート。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。